◆ アイビーファッションの石津謙介氏が亡くなった。「メンズクラブ」の前身「男の服飾」の創刊にも携わった人物です。1951年に大阪で産声を上げたVANジャャケット。アメリカのトラディショナル・ファッションであったアイビールックを日本に紹介したのがVAN。創立者の石津健介氏は若者にとってカリスマ的な存在でした。VANの送り出したアイビールックは60年代当時の若者達に爆発的なブームを起こし、その後の若者へのライフスタイルや文化にまで大きな影響を与えました。アメリカの伝統的な名門大学のキャンパススタイルだったアイビールックは、おしゃれに慣れていない私たちにカジュアルという感覚を分かりやすく教えてくれました。
高校時代、VANはマナーや遊び心を学ぶきっかけでした。高校は私服でしたので、アルバイトをしてはせっせとVANショップに通い続けていました。特にVANジャャケットが教えてくれたのは遊び心でした。VANが60年代から70年代にかけて残したもののひとつに、「アメリカらしさ」をはっきりと意味づけして世の中に送り込んだことでしょう。アメリカとスポーツを強烈に意識したKentやSCENEなどブランド別の明確なアピールがありました。
◆ アイビーが履く靴といったらリーガルシューズが定番。リーガルの靴は「丈夫だが堅くて重い」と文句を言いながら履き続けてきましたけど、最近のリーガルの靴は、頼りないくらい軽くて柔らかい。そして靴そのものも以前より華奢に見えます。足にマメを作りながら、早く馴染めと祈りながら履いたものでした。
しかし、今でも堂々と生き残っている「重いリーガル」もまだあります。主にビジネスに使う、馴染み深いプレーントウや、ストレートチップなどがそうです。手に持ったとき、実際に履いたときの感覚は、懐かしい一方で安心感があります。少しごつく張り出した靴底の縁には、職人の息吹も感じられます。トラッドを好む人たちの足元を必ずと言って良い程、リーガルの靴が包んでいます。あれからこの年まで相変わらず靴はリーガルです。
高校時代はリーガルのサドルシューズ、大学時代はリーガルのスニーカーとコインローファー、社会人となってウィングチップ、結婚して子供が生まれ何かと物入りの時期を除いて、気がついたら足元はいつもリーガルが飾っています。でも、アメリカに対する憧れは、現在、まったく無くなりました。
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