◆ 昔から何故か北方志向だった気がします。東北生まれというだけではなく、妙に明るい南の方には違和感を覚えるのです。けして南の方が嫌いだとは思わないし、あこがれることさえあります。
日本の風土はとても深いものがあり、特に個人的に北のほうに深いものを感じています。それを味わうために北国に行きたいときがあるのです。
青森には三内丸山遺跡、是川遺跡、亀ヶ岡遺跡などの縄文時代の遺跡も多く残されています。宇宙人といわれる遮光器土偶、三内丸山遺跡の巨大な木柱、平泉に花開いた都の文化、東北は何か不思議な文化の上に地層が幾つも重なっている気がします。そしてそこに暮らしている人たちの血にも熱いものを感じてしまいます。東北の夏を飾るねぶたや祭り、最近ではヨサコイに見られるパワー、何かやるときのこのパワーがすごくて、中央とは明らかに違うのです。そして北海道にはもっと熱いものを感じさせる何かがあります。
◆ 今日のテレビ番組の中で、汗して働く親の姿を見て成長していく高校生のドキュメンタリー番組「桜の花の咲く頃に」が放映されました。
北海道別海町、国後島が目の前にありオホーツク海に面した町です。町の面積は東京23区が二つ分もあるという日本で2番目に大きい漁業と酪農の町です。町の人口よりはるかに多い11万頭の牛と日本一の牛乳生産量を誇っています。町内唯一の高校である北海道立別海高校に通う生徒たちを1年間、じっくりと時間を掛けて追ったドキュメンタリーです。
酪農を営む父親を交通事故で失った娘さんは、「父のためにも」と高3の夏、バレーボール全国大会で青春を燃焼させますが、全国大会決勝で惜敗。中学生時代から雪の日も休みなく新聞配達を続け、家計を助ける息子は「母の負担になるから」と進路に迷うが、母親の希望もあって専門学校に進学して一人暮らし。酪農科の3年生は漁師の父の後を継ぐ決心。東京の短大に進学した彼女とは遠距離恋愛。でも、彼女は東京での生活に馴染み、あの故郷へは戻らないという。8人兄弟の長男はラグビー部主将のガッツを胸に、家業の酪農を発展的に継ぐため、酪農科のある酪農大学に進学。
◆ 厳しい自然の中で必死に働き、一生懸命生きている親の姿を見ながら育った子供たちの素晴らしさが素直に伝わってきました。あの環境の中で親と子、先生と生徒の信頼関係も自然と育ったのだろうと思います。一人一人の姿が映し出されるうちに、家の仕事を手伝い、決して豊かでない家計への気遣いを見せる子供たちの素敵な姿が浮かんできます。今流行のIT産業とは対極にある第一次産業ですが、汗を流しながら働くという最も基本的なことを改めて知るいい機会でした。北の大地にどっかりと根をおろして生きる高校生、「日本の未来はどうなるのか」と暗い不安な思いに沈みがちになる昨今ですが、そうした気持ちを吹き払うような青春群像でした。
◆ 人の感性や人格の軸は10代後半から20代前半に形作られると言います。今の若い人にとって、本当に大事なものは何か、が見えにくい世の中になっています。ホリエモンのニッポン放送・フジテレビとの一連の買収騒ぎの動きを若い人たちはカッコいい、理想の経営者と持ち上げています。汗もかかずに巨額の金を右から左に移すだけで巨万の富を得るのがカッコいいという時代に、大地に根をおろした力強い高校生がいることを知りました。そして、「ドラえもん」くずれの「ホリエモン」には魅力の欠片も感じませんが、この北国に生きる高校生たちに心揺さぶられる何かを感じました。
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