若者の留学症候群 
 vol.84
 2003/10/31

 かつて外国の若者は日本を目指して頑張ってきました。今、日本の若者の中には無目的に外国を目指す人がいます。外国の新しい文化を吸収するために、積極的に外国志向していた時代もありましたが、現在は国内であろうと外国であろうと学ぶ気持ちさえあれば自分たちの周囲に溢れるほど整った環境が準備されています。ただ、体のいい格好のみを求めて外国を志向する若者にはどうしても同感できません。国内で幾ら頑張っても周囲は認めてくれないけれど、外国に行ったというだけでどこか違う自分自身になった気持ちで帰ってきます。しかし、残念ながら変わったのは周囲の反応だけで本質的な自分自身は一切変わっていないことに気付くべきです。

 大学を出たら一流会社に就職するのが日本人の出世コースでした。でももうその時代はすぎてしまいました。いま一番カッコのいいコースは外国に行くことなのだそうです。
外国に行くといっても、皆が一流大学の修士コースに留学できるわけではありません。また学問を続けることが唯一の人生勉強ということでもありません。外国に出かけるということは諸国武者修行に出かけるようなものです。そうはいっても自分のやったことには責任を持たなければいけませんが・・・・。いつまでも親のスネをかじってばかりもいられませんし、せめて目的らしいものも見つけてほしいものです。
  誰しもまったく目的がないとは言いませんが、今の自分から逃避行するだけであればナンセンスです。僅か半年程度イギリスに留学したからといって、社会に通用する語学力が備わって帰って来れるわけではありません。その程度の語学力習得を目的としているならば、どこかの「駅前留学」だって可能なはずです。今の日本ならば、わざわざ外国に出かけなくても様々な外国の文化に触れることができます。

 外国を目指すことが悪いことではありません。むしろ歓迎すべきだと思いますが、それまで何をやっても中途半端なことばかりで投げ出してきた若者が多いことです。何より大切なのは本人の意思、これは間違いありません。私たちが考えてしまうのは、半年・1年・2年、あるいはそれ以上前に日本を飛び出し、夢見た海外生活を実現したにも関わらず、日本に戻ってきた人たちの話を聞くときです。ある意味無軌道に海外での生活をはじめてしまう彼らを見ていると、いったい、その情熱がいつまで続くのだろうかと心配になってしまいます。外国に行けば語学が習得できますし、日本よりやりたいことが出来そうな気がしますが、本当はそれほど考えているようには事は進みません。外国語を身に付ける前に、地に足をつけた考え方をまず身に付けることが急務なのではないでしょうか。