最後の体育祭と廃校 
 vol.75  2003/9/9

 長かった夏休みも終わり、二学期が始まりました。この時期はまた、運動会や文化祭などで忙しい時期となり、7日には家に隣接した但東北中学校でも体育祭が開催されました。冷夏に泣かされた夏休みでしたが、8月末からの厳しい残暑に真っ黒く日焼けした子供たちの元気な声が校庭に響いていました。地域の人たちも含め300人の老若男女が、約50年の歴史の校舎に別れを惜しんでいました。
 この校舎も来春の統合中学校開校に伴い、廃校が決まっています。 地域の子どもたちが通う公立小中学校は、廃校となった後も、卒業生や地元の人たちの「思い入れ」の対象や、地域の歴史を象徴する存在です。多くの小中学校の廃校跡には、過去に関わった人々の汗や、涙や、喜びが染みついています。このため、これまで廃校舎の有効活用については、「地域密着」が求められるケースが多かったように思います。新たな施設を作ることの方が簡単なことかもしれませんが、これを再利用して新たな広場を作り出すことは、お金の問題だけでなくて、何かもっと大切な人々の過去の記憶の流れの上にこれからの子どもたちの未来を開くことにつながるような気がします。地域になじんだ校舎を簡単に取り壊すわけにはいきませんが、財政悪化の中、「遊休施設」として放置するわけにもいきません。とはいえ、地域の施設としてだけでは使い道に限度があります。

 かつて地域の結節点であった廃校に、都会を含めた新たな人々と地域の子どもたちがともに、積極的に関わることのできる仕組みを生み出してゆくこと自体が「地方と情報化社会」「自然エネルギー」「コミュニティーとビジネス」「ミュージアムとアート」「新たな農のスタイル」といった人間が元気を取り戻すこれからの地域実験の可能性を内包しています。既にNPO法人の活動拠点にするところや、IT(情報技術)の仕事をする人の小規模事務所として貸し出す自治体もあります。
 しかし、統廃合などによる廃校舎の数は今後も増えていくと見られ、自治体の「財産」として、用途の幅をどう広げるかという課題も大きくなっています。文部科学省による今年度の学校基本調査(速報)によると、小学生は前年度比約5万8000人減の約723万9000人で21年連続の減少。中学生は同約12万9000人減の約386万3000人で、いずれも調査開始の1948年以降最も少ないのです。公立学校数も、前年度より小学校が159校、中学校は37校減っています。