◆ ディキシー・チックス ◆
 vol.74  2003/8/11

 今、全米で人気ナンバーワンのカントリーバンド「ディキシー・チックス」ってご存知ですか。テキサス州を本拠にする女性3人のカントリーバンド「デキシー・チックス」。メンバーの1人が3月中旬、ロンドンの演奏会で「ブッシュ大統領が同じテキサス出身で恥ずかしい」と発言しました。これに反発する声が起き、全米ラジオ局の一部が演奏を「放送禁止」にしました。ルイジアナ州ではトラクターでCDを押しつぶす騒ぎまで起きています。結局、このメンバーは「私は祖国を愛している」と謝罪に追い込まれてしまつたのです。その背後に、「ブッシュ政権に近いラジオ放送業界の協力企業がある」と、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストが指摘し、関心を集めました。 彼は、動きの背後にブッシュ政権に近いラジオ網会社があり、「CD押しつぶし」を企画した放送局もその傘下と指摘。さらに、全米各地で「アメリカのための集会」と銘打って行われている熱狂的な戦争支持集会も、「全米に1200局を持つ別のラジオ網会社が組織している」とも指摘しています。ラジオ網会社はテキサス州が本拠。ブッシュ大統領は、オーナーをしていた球団の球場を売却して資産を作ったが、買い取った人物がこのラジオ網会社の副社長です。

 カントリー・ミュージックのルーツは、イングランド・スコットランド・アイルランド・あるいはヨーロッパ各国の移民が、新天地アメリカに持ち込んだ民俗音楽にあるそうです。その定説には異論はありませんが,今,私たちが熱愛しているカントリー・ミュージックとそれとは音楽的にも、情緒的にもかなりの相違点があります。 主にアメリカの田舎の生活や旅を背景にした歌で、恋愛がテーマの曲が多いですね。ブルースが黒人の伝統音楽である様に、カントリーは白人の伝統音楽なのかも知れません。何となく田舎くさいってイメージがあるかもしれませんが、今のカントリーはCDが全米ヒットチャートの1位になてしまうほどポピュラーです。スローバラードから激しいものまで、色々あります。最近はカントリーが映画の主題歌に使われています。こんな切り口でイラク戦争を考えてみると、違った形のものが見えてきませんか?

 アメリカのダリル?というカントリーシンガーは新曲で「Have you forgotten 911〜」というテロからイラク攻撃の正当性を高らかに謳い上げて自身初のミリオンヒット、全米カントリーチャート一位を獲得した人がいます。それまでの彼の最大のヒットでも8万枚の売り上げが、今回は既に200万枚を突破。ドナルド・ラムズフェルドはこれを聞いて涙し、実際に彼のステージに立ち、賛辞を贈っています。又それに続けとばかりトビー?という歌手も同様の愛国ソングを出し、胡散臭い話が続いています。
 ブッシュ大統領批判で不買運動に会っているディキシー・チックスは「政治的発言」と言われていますが、このテロ(既に正統性の無い理由)からイラク攻撃の応援歌のように政府に対する肯定には「政治的」という表現は全く見られませんが、こちらの方がより直接に政治的ではないか?さすが「カントリー」という気がします。