「リバイバル」 ◆
 vol.73  2003/8/6

 またまた70年代のフォークソング。中島みゆきが歌っていた曲で、「リバイバル」です。

  忘れられない歌を 突然聞く  誰も知る人のない 遠い町の角で
  やっと恨みも嘘も うすれた頃 忘れられない歌が もう一度はやる
  愛してる愛してる 今は誰のため 愛してる愛してる 君よ歌う
  やっと忘れた歌が もう一度はやる
  なにもことばに残る 誓いはなく なにも形に残る 思い出もない
  酒に氷を入れて 飲むのが好き それが誰の真似かも とうに忘れた頃
  愛してる愛してる 今は誰のため 愛してる愛してる 君よ歌う
  やっと忘れた歌が もう一度はやる

 この歌を初めて聞いたのは、八戸市内の小さなスナックです。確か世界でも有名な歴史のあるワリッツアー社のジュークボックスだったように思います。ジュークボックスと聞いて戦後の進駐軍を思い浮かべる人も多いかも知れません。でも、今はお洒落な置物として若者の間で流行っています。外国のジュークボックスが日本に入って来たのは、終戦後アメリカの進駐軍が持って来たと聞いています。それ以来、半世紀以上が経過し、その間には飲食業界、遊戯場、ホテルなどで使用されて全盛時代もありましたが、昭和50年頃から本格的にカラオケが流行りだし、当時はジュークボックスにカラオケ対応が出来るように改良されたものもありました。音質の面では良かったのですが、曲数において限界があり、8トラックテープカラオケに押されて昭和55年頃から徐々に姿を消していきました。オーディオのめざましい技術革新の進展する時代の中、新しいものが次から次へと生まれる現在の日本では、ジュークボックスは忘れられていたのではないでしょうか。しかし、ジュークボックスのアナログの響きやディスプレイの魅力にひかれ、若い世代の人々や昔からのファンがいるのも事実です。

 この小さなスナックは一文無しになるといつも足が向いてしまう不思議な店でした。兵庫県に住んでいる今でも、八戸のスナックへ出かけることがあります。特に東京出張のときには、休みを利用してそのまま八戸まで足を伸ばします。そんな店も今では、時代に合ったカラオケ流行り。でも店の入口には懐かしいあのジュークボックスが今でも偉そうに鎮座しています。中にあるレコードも70年から80年代のあの古めかしいレコードがそのまま入っています。誰も聴く人もいないジュークボックスですが、私たちにとっては堪らないアナログの音なのです。そんな店だからこそ、どんなに酔っても間違いなく辿り着けるのです。そして、いつものようにあの「リバイバル」を聞いて帰ります。
 店の名は「JOY」、いかがわしい店の隣にある狭い階段を上った2階にあり、どんなに酔っても必ず最後はこの店なのです。記憶がなくなっても、千鳥足でもたどり着ける不思議な店なのです。あまり似ていない顔の姉妹で経営しており、いつもジャズやシャンソンが静かに流れており、世間ではカラオケがどんなに流行っていようとも、いつも古臭いレコードをかけてくれました。カウンターは8人も座ったらいっぱいになりますが、そんなに混んでいる店の姿はあまり記憶にありません。店の隅であやしげな人生論を語り合っている人たちが時折見かける程度です。