1970年代ってどんな時代なの? 
 vol.72  2003/8/2

 最近、TVを見ていると70年代の名曲がよく使われている事に気が付きます。CMに至っては70年代のヒット曲のオンパレードです。こういった現象はリアルタイムで70年代を体験してきた世代がドラマ、CMを制作している事にもよるのでしょうが、70年代の音楽が30年経た現在でも我々を惹きつける何かがあるからなのでしょうか。70年代とはいったいどんな時代だったのでしょうか?
 70年に大阪で日本万国博覧会が開催されました。高校3年の長兄は修学旅行で日本万国博覧会へ行き、土産としてソ連館?で買ったというレーニンやスターリンの切手をもらった記憶があります。70年には大阪でこうした果てしない未来への期待の一方で、ヘドロや光化学スモッグ、エコノミックアニマルといった言葉が話題になり、71年には環境庁が発足しました。子供ながらに田舎には緑がいっぱいあるのに、環境庁なるものとはいったい何をするところなのか全く理解できませんでした。
 ホコテンと呼ばれる日曜昼間の道路を歩行者に開放する歩行者天国が銀座で実施されました。このあたりから高度経済成長による上昇志向を見つめなおそうとする行動が見られるようになった気がします。このような背景がライフスタイルやファッションに影響し始めた。「アンアン」「ノンノ」「JJ」「ポパイ」といったファッション誌が創刊され、読者の行動までもコントロールしていくような情報を発信していったのも70年代に入ってからの特徴といえるでしょう。ちょうど多感な高校生時代です。

 70年代も後期になると音楽面ではROCKビジネスは巨大化しエンターテイメントとして大衆化されるようになります。アメリカにおいてキッスやスティックス等のバンドが成功をおさめ、一般大衆の認知するところとなりました。また、一部のプログレバンドがPOP路線に路線変更しスターの地位を確立します。スタイルも多様化しコマーシャリズムに流されるバンドが多く、流行のサイクルがますます早くなっていきます。そして、流行が作られていくようになったと思います。78年になるとパンクブームがあり、革新的なバンドが多くあらわれた。現体制に対する政治的メッセージを前面に破壊的なロックを展開しました。ただ、その中にもいろいろなスタイルがあり、一部カリスマ的に扱われるなどのブームでありましたがかなり作為的な感じもしました。70年代の終わりにはダンス・ミュージックとの融合で巨大なマーケット。いつの時代も過去を振り返れば「激動の時代」と言われます。それだけ世の中が激しく変化し続けている証であり、その速度はますます加速しすべてが過去のものになっていく時代でした。

 70年代は60年代以前の過去を清算する事から始まりました。それはヴェトナム戦争に象徴され、そこに集約されると思います。アメリカでは反戦運動から反体制活動の挫折感を実感し、また現実からの逃避、実社会をはなれユートピアを求めた60年代後期のフラワームーブメント、サイケデリック・サウンド、瞑想音楽の行き詰まり。そして、ウッドストック以降の虚脱感を拭い去る事から70年代は始まりました。イギリスでは「ビートルズの60年代」を清算する事から70年代はスタートしているのです。
 70年代も中期に入るとヴェトナムからの帰還兵の多くが社会復帰できずドロップアウトしていきます。ある者は戦争の恐怖感からぬけられず、また無力感に支配されドラッグに頼らなければ生活できなくなる者が多く、社会問題となっていきます。アメリカは病みはじめたのです。犯罪の増加や働かない若者、そしてドラッグ。音楽においてもそのパワーを失いつつあり、社会に目をそらし自己の開放、満足にその手段を用いるようになります。やがてそれは現代に象徴されるビジネスの世界に取り込まれていってしまうのです。こうして「気楽に行こう(Take it easy)」の時代は終焉したのですが、現代日本の姿は若者にどう映っているのでしょうか?