眠らない飽食国家 
 vol.53  2002/10/6

 ここ数年、食に対する不信が続いています。BSE、そこから派生した偽装牛肉事件。外国から輸入される野菜も見栄えをよくするため、大量の農薬が使われてきました。驚くほどの食品が、日本のために作られ、加工されています。安全で安心できるものを食べたい、何より子どもたちに食べさせたいと思います。ある人が話していましたが、日本企業が外国で米や食品を作らせていますが、いずれそこの国が人口増になった場合、国内需要をまかなうだけで精一杯になります。そのとき、日本はどうするのでしょうか。外国の人たちに食べ物を作らせ平然とし、飽食国家への警告がいずれ日本を襲うようになる危機感を覚えます。日本の食糧自給率は約4割、近い将来必ずや危機が現実味をおびてくるでしょう。
 農家が食べ物を作ることをやめ、食べ物を買うことを選び始めたことへの社会的影響は大きいと思います。農産物の自由化や減反で、農家は農業では食べていけません。若い両親は外に勤めに出ています。忙しいから、裏に畑があったとしてもその野菜を使わず、スーパーで惣菜を買ってくることが増えました。飽食国家が農業や農家を軽視するあまり、食べ物は金で買えば済むと勘違いしているようです。このまま農村社会が崩壊してしまうと、都市を含めた国家全体の危機につながっていくのは明らかです。

 24時間営業を謳い文句にコンビニが躍進を続けていますが、スーパーも追随するかのように営業時間を朝早くから夜遅くまで営業時間を延長しています。夜10時以降も開いているスーパーも珍しくなく、夕方作られた惣菜がいつまでも並んでいます。日本人の生活スタイルが夜型になっているのも事実ですし、長引く不況で少しでも業績を伸ばしたいという店側の思惑もあるのでしょう。家庭の冷蔵庫代わりに使ってほしいという大きな看板も見られます。
 若い人たちにとって、仕事が終わってからゆっくり買い物ができるのは便利で重宝されています。単身者や独身者にも食べきりサイズの小さなパックも人気のようですが、容器が増えて困ります。一度の買い物で出るゴミの量は世界一だろうとも言われています。日本人の夜型化の生活に伴い、スーパーも眠らず、24時間ゴミと食材を提供され続けています。
 96年11月に開催された世界食料サミットは、「世界全ての人たちが、安全で栄養的な食料を入手する権利を持つ」と宣言し、世界の食料安全保障の達成と飢餓撲滅のため、2015年までに8億人の栄養不足人口を半減させる目標を掲げました。それ以来、毎年10月16日が「世界食糧デー」となり、飢餓からの解放が唱えられてきました。先進国が途上国の安価な労働力や資源を活用して豊かになった側面を踏まえ、先進国は受益に対する負担を受け入れる必要があります。そして、地球規模の責任を負うことも忘れてはならないでしょう。途上国は国民を養うのに必要な食糧を生産する能力がなく、その結果として先進国では飽食が問題になり、かたや途上国は栄養不足が慢性化するという構図ができてしまいました。毎年10月16日が「世界食糧デー」ということを知っている日本人はいったい何人いるのでしょうか。

 コンビニは効率的な便利な場所にあり、最近は情報端末や金融端末まで備えられています。店舗の売り場面積は変わらないのに、コンビニに求められるものが多すぎるように感じます。コンビニが扱う商品は平均で2800。このうち5〜7割の商品が「死に筋商品」として入れ替えられるから驚きです。売り上げの3割を占める弁当やサンドイッチは一定の時間が来れば廃棄される運命にあります。当然コスト高につながり、値下げしない代わりに24時間営業するという仕組みができています。コンビニは24時間開いていて、便利な場所にあるということでその存在感を示してきました。でも、24時間営業していることにどんな意味があるのでしょうか。24時間眠らない飽食国家、または満腹国家とも呼ばれるニッポンの姿です。