但馬の市町合併 
 vol.51  2002/9/30

 混迷を続けていた但馬北東部の合併問題が一歩前進しました。この一ヶ月間、全域合併か、1市2町(豊岡市、城崎町、竹野町)、3町(日高町、出石町、但東町)に分割するかの議論が続いていましたが、ようやく一筋の光明が見えてきたようです。但し、住民不在の決定に異論や不満の声が聞こえているのも事実です。1市5町になった場合、地理的環境から但東町は豊岡市と距離的に離れていることから、不利な条件になる場合もあります。ふるさとを遠く離れて生活している人たちにとって、ふるさとの将来に関する大事な事案でもあり、現状での市町合併について簡単に紹介しておきます。

 22日の新聞によると、豊岡市など1市5町の但馬地方北部の合併問題で、出石、但東の話し合いが21日、出石町役場でありました。日高町を加えた3町合併と1市5町のどちらの案にも決まらず、3町案でこれ以上まとめることを断念しています。日高町も了承して3町合併研究会は解散です。23日夜、1市5町の市町長の会合で今後の方針の検討が始まり、組合せは事実上、人口9万5千人になる1市5町か合併しないかの選択に絞られてきたようです。
 21日に結論を出すとして15日に始まった研究会ですが、出石町が財政基盤の強化を図るなどのため1市5町案、但東町は小さくてもしっかりした町づくりを進める3町案で譲らず、この日も出石町長と但東町長のほか、両町助役、正副議長、合併委員会の正副委員長が集中議論されましたが、結局は決着がつきませんでした。このため日高町長も交え、2町が折り合わない以上は3町案はありえないことを確認。出石町長は「妥協する方策を見出せなかった。1市5町合併に向けて豊岡市長の指導力の発揮を願いたい」と述べています。但東町長は「1市5町ではあまりに広い。大きいだけがいいのではなく、今後、どうするか議会や住民と相談したい」と語り、日高町長は「仮に1市5町の場合、地域性をどう取り入れていくのか。1市5町で足並みをそろえる必要があるので、大変な作業になる」と話しています。

 豊岡市議会の市町合併問題調査特別委員会が昨日23日にあり、豊岡市長は1市5町(豊岡市、城崎、竹野、日高、出石、但東)合併を進める方針を明らかにしました。豊岡市長は1市5町案について、「3町を見放すことになる1市2町合併はできない」と5町長にも同日、この意向を伝えて検討を求めました。今後、各市町で議論することになるでしょうが、3町合併を掲げていた日高、但東両町の動向が焦点となります。豊岡市長は特別委で、日高、出石、但東3町の協議が21日に不調に終わり、3町合併が事実上不可能になったとして、「1市5町もれなく合併するには、ほかに残された可能性がない」と、1市5町を提案する理由を説明。
 1市5町合併の課題として◎財政基盤の強化、◎1市5町の優れた施策を受け継ぐ、◎消防やごみなどを扱う北但行政事務組合の廃止、◎人口が10万人規模と北近畿の中核都市などを挙げ、「総合的、長期的に判断すれば、住民の期待に応えられる枠組みだ」と述べています。特別委は、1市5町が望ましいとする中間報告を出す方針を確認。25日の定例市議会最終日に報告する予定。また、1市5町の首長による会合が同日夜、豊岡市内で開催。3町の協議の結果が報告された後、豊岡市長は1市5町合併を提案し、各町で十分議論した上での返答を求めました。
 24日、城崎町議会は1市5町全域での合併案を賛成多数で採択しています。日高町議会で日高町長は豊岡市長から1市5町全域合併の提案のあったことを報告し、「3町合併に向けて最大限の努力をしたが実現できずに残念。全域合併については今後、関係市町と連絡調整しながら対応を考えたい」と話しています。

 1市5町の面積は697平方キロで、合併すると神戸市や淡路島を超えて県土の8%になり、兵庫県内一広くなります。しかし、県南に比較して高速交通網の整備が遅れている現状では、管内の9万5千人が地形的に山や谷に隔てられて点在することになり、地域特性をどう生かすかが大きな鍵となります。鞄産業とコウノトリの豊岡市、温泉の城崎町、日本海の竹野町、神鍋高原の日高町、城下町としての出石町、シルク温泉と農業の但東町。どの町も独自に培った文化や施策で活性化に努めてきており「わが町意識」がかなり根強い傾向にあります。3町案だった但東町は、豊岡市に機能が集中する懸念から1市5町案に反発したもので、こうした不安の声をどう払拭していくのか問題点も山積しています。現に篠山市になった旧西紀町の衰退振りは多くの人たちが語るところであり、篠山の市街地を中心とした開発は確かに目を見張るものがあります。

 県北部の但馬地方は、他地域が3市に再編される見通しがついており、これで枠組みはほぼ固まったようです。12月議会に法定協議会設置案をそろって提案、特例法期限の2005年3月末までに実現したい意向。今後、各町が議会や住民と協議することになるでしょうが、一部に反対意見も出ています。但馬の合併をめぐっては、南但馬で養父郡4町と朝来郡4町がそれぞれ法定協を設置。北但馬西部では、城崎郡香澄町と美方郡4町が10月の法定協設置を目指しています。