◆ 今年もホヤの美味しい季節となりました。ホヤは爽やかな香気を放つ海の恵みです。その類まれな風味は、たちまち人を虜にしてしまいます。臭い・・・・・というのは、不運にも新鮮なホヤに出逢えないでいる人たちが着せた濡れ衣にすぎません。獲れたてホヤホヤが真の海鞘なのです。フランス大使が松島のホヤを賞味された折、ホヤは初めてというお二人は生をカクテルソースで試し、ひとしきり堪能された後、ソテーも注文されたといいます。さすが食通の国の粋人ぶりを示された話です。
生きのいい天然のホヤはまず生で。キュウリが育つとホヤが美味いと言い習わされるほどこの二つの相性はいいようです。酢の物、刺身と味わったら天ぷら、吸い物など様々に・・・。個性的な鞘(殻)の形から海のパイナップル、火屋、寄生木(はや)、と色々に言われますが、極めつけは保夜。力のグリコーゲンを豊富に含んだ海鞘は、確かに保夜・・・・なのだろう。
◆ 三陸生まれのものにとって、ホヤは夏を感じさせる食べ物です。このホヤを食べないと夏の季節感が味わえないというほどです。ホヤは全国どこでも獲れるのですが、一般的には三陸海岸から北というイメージがあります。それもそのはずで、水揚げ量の7割が宮城県ですので、当たり前なのです。東京以西ではもっぱら珍味といういう扱いを受けますが、慣れるとクセになってしまいます。見た目は真っ赤な色でブツブツしており、ややグロテスクかも知れませんが、獲れたてはほどよい塩加減で、臭いや苦さもなくビールの肴にはもってこいです。かつて徳島出張の折、徳島駅の向かいにある「ねぶた」という名前の小料理店に入りました。別に青森出身の経営者ではなかったのですが、お酒はあの「田酒」で、肴にホヤ。こんな四国で生ホヤが食べられるなんて、本当に驚きながらも感激しました。
◆ また、バクライという酒の肴があるのですが、これもホヤと海鼠腸をいれたもので珍味のひとつです。これで地酒なんかをチビリチビリやったら、たまりません。5月頃からホヤは出回り、今が旬で、もう少し経つと東北の夏祭りが各地で始まるようになります。ホヤの新鮮で甘酸っぱい香りがすると、そろそろ東北にも夏祭りが近付いていることを知らされます。
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