◆ 山猫軒の話が出たついでに、宮沢賢治について少々ひとり言を。賢治は東北の岩手県に生まれ育ち、数々の名作を生んできました。「イーハトーブ」は岩手県の別称ですが、賢治は楽しい名前をつける天才でもありました。イギリス海岸、モーリオ(盛岡)、ハーナムキヤ(花巻)、センダード(仙台)、いずれも実在する場所を賢治らしくネーミングしたものです。東北地方という薄暗いイメージを払拭しようとして、こんな呼び方をしたのでしょうか。賢治の作品はいずれも盛岡や花巻を中心にした東北地方ですが、そこで語られる物語は東北地方という薄暗さを感じさせない賢治独特の幻想的な世界を創出しています。「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」などはヨーロッパ的な雰囲気さえ感じさせます。
◆ 大好きな「雨ニモマケズ」のフレーズは、仕事をする上で共鳴するものがあります。というのも、この詩が表現する内容と日常業務がオーバーラップするのです。私たち博物館の仕事はお客様と接することが基本です。詩の冒頭は雨ニモマケズ・・・・・で始まります。どのような天候の日であろうと、博物館を訪れてくれる人たちがおりますので、私たちにも雨の日、風の日、猛暑の日、吹雪の日など関係ありません。来館者のその期待に応えるためにも、肉体的にも常に丈夫な体であり続けたいと思います。また、移動博物館や出前授業を必要としている子供たちがおれば、東へ、西へ、南へ、北へ、こちらから出向いて行きます。賢治がふるさとに住む人々を愛したように、私たちもこれまで以上に地域とのかかわりを大切にし、しっかりと地域に根ざしていきたいと思います。そして、賢治の理想としたイーハトーブのようになれたら、なんと素敵なことではないでしょうか。
◆ 先月、地区内にある但東北中学校と但東中学校との統合問題についての説明会がありました。少子高齢化に伴う子供たちの激減振りに驚くと同時に、統合に関してメリット、デメリットについて真剣に考えられているといった雰囲気よりも、すでに統合ありきで話題がどんどん進んでいる気がします。統合反対という立場ではありませんが、進め方のプロセスには本当に問題がないのか、基本事項から活発に議論されるべきだと考えています。学校の統合問題も大きな問題でしょうが、その前に「風の又三郎」のような子供たちが地域で見かけなくなったほうが問題なのではないでしょうか。 (00.12.2) |