注文の多い田舎酒房A 
 vol.21  2000/11/10

 我が家のガレージに作った「山猫軒」は宮沢賢治の童話集「注文の多い料理店」からパクッタものです。本物の「山猫軒」は岩手県花巻市にある宮沢賢治記念館の駐車場に隣接してありますので、是非ご利用ください。
 この童話集は山奥で猟をしていた都会の二人の紳士が、道に迷って「注文の多い料理店」を見つけ、店内に入るのですが、かえって多くの注文をされたあげく、山猫に食べられそうになる話です。次々と扉を開けてゆくスリリングな物語性や、日本語の言葉の持つあいまいな二義性を巧みに使ったユーモアをもつ傑作といわれています。東京からやって来て、ただ楽しむだけに、野山の生き物を殺そうとするハンターたち。彼らが「都会文明」を象徴するものならば、それらを逆に食べてしまおうとする山猫たちの行動が、「村の子どもたちの止むに止まれない反感」だということになります。ここに描かれているのは、経済優先の社会に、どっぷりと浸りきった人間と、経済などとは無縁な、自然界の論理で生きるものとの、対立の構図だと言われます。そんな思いを宮沢賢治の「山猫軒」に思いを託しております。

 宮沢賢治とは違いますが、幼稚園時代に岩手県衣川村のおば宅へ祖母に連れられて、蒸気機関車でよく出かけたものでした。宮城県の漁師町で生まれ育ったせいか、山の暮らしは見るもの聞くものすべてが楽しくて仕方ありませんでした。大きなトンボやセミ、カブトムシというように、図鑑だけの世界が急に目の前に広がった少年の目は好奇心そのものでした。たまたまおば宅で飼っていた真っ黒な大きな猫がおり、自分の知っている猫とはどこか違う感じだったので、「やまねこ」と呼んでは大騒ぎしていました。その後、おばたちからは「山猫さん」と呼ばれるようになりました。結婚して子供ができても、おばたちに会うと今でも「あの山猫さん」と呼ばれております。宮沢賢治や小さなときのニックネームから付けられた「山猫軒」ですが、急ぐ用事がなければどうぞお気軽にお立ちより下さい。 
 夜中まで開店している山猫軒