えんぶり 
 vol.109
 2006/2/5

 今年も「えんぶり」の季節を迎えました。この季節になると、家の玄関にガラスケースに入った40cm程の「えんぶり烏帽子」をいつも飾っています。そして書斎の机には「えんぶり」を模ったペーパーウェイトがいつも置かれています。普段、特別な思いはありませんが、この季節になると何故か思い出す南部地方を代表するお祭りです。
 でも一般的に「えんぶり」といっても、全国的にどれだけの方が知っているのか些か疑問です。それでも地元の人間や、郷里を離れている人間にとっては、今でも掛け替えのない春を呼ぶ祭りなのです。節分より、バレンタインよりも待ち遠しいのは私だけでしょうか。

 えんぶりは明治時代以降に青森県八戸地方で民俗芸能として定着した年中行事だそうです。古い記録をみると18世紀前半にみられますが、その起源は鎌倉時代ともいわれます。元々「えんぶり」というのは田の土を摺りならす農具「えぶり」のことで、昔、舞い手が手に持って舞ったことからこの名で呼ばれています。毎年2月17日から4日間にわたり、八戸や近隣で行われる豊年祈願のお祭りで、昭和54年2月に国の重要無形文化財に指定されました。
 舞い手がかぶる烏帽子の本体は、張り重ねた和紙を生乾きのうちに折り曲げて形を整え、その表面に描かれる鶴、亀、松、竹梅、えびす、大黒等のおめでたい図柄と長い前髪が特徴的です。おめでたい図柄満載の烏帽子は殺伐とした世相だけに、巡る季節の中に明るい話題を見つけた思いです。我が家のえんぶりの烏帽子とペーパーウェイトは青森から兵庫に引っ越した11年前に買い求めたものです。