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◆ 出張で東京に出かけてきました。何気なく見ていた東京タワーが、映画「オールウェイズ」で建設中の東京タワーとしてリアルに描かれていたのを見て、いつもと違う立派なタワーに見えたものです。昭和30年代の象徴としての東京タワー。昭和33年生まれの私にとっても妙に懐かしさを覚えます。
今、この昭和30年代がブームになっており、漫画家・西岸良平氏の作品で「夕焼けの詩」が人気です。学生時代によく読んでいましたが、「ビックコミック・オリジナル」で連載され、そのほのぼのとしたあたたかい絵とストーリーで多くのファンを持つ作品だったように記憶しています。戦後から高度経済成長期に入るまで、とくに昭和30年代の、ごく普通の人たちの生活が描かれていて、街頭テレビ、チンチン電車、オート三輪、けん玉、紙芝居のおじさん、見せ物小屋など、当時の風物も満載です。大学を卒業して就職し、結婚して子どもたちが生まれ、あくせく働く日常も年とともにようやく落ち着きはじめ、息子たちも大学生と高校生になっていました。
◆ この時代は、まさに少年時代です。そのせいか、「夕焼けの詩」を読むと懐かしさがこみ上げ、胸がいっぱいになります。貧しくても楽しい時代だったように思うのです。服は兄弟のお下がりだったり、遊びといえば山の中で隠れ家を作ったり、「忍者ごっこ」「ちゃんばら」、海に行けば釣り三昧、学校に行けば勉強もせずに給食を楽しみにする毎日、こんな生活を送っていましたが、現在は真っ当な生活をしています。
現代は当時に比較して暮らしやすい環境とはいえず、様々な問題が吹き出してしまった気がします。ライブドアの堀江社長が逮捕されたときでさえ、よくぞやった特捜と思っていたら、逆に株価が下がるからといって苦情電話が多かったという異常さです。自分だけ良ければいいという風潮が蔓延している不思議な国です。耐震偽装などの住宅問題、フリーターなどの雇用、そして親子のふれあいといった、現代社会の中で解決すべき問題が、昭和30年代の暮らしの中にそのヒントがあるように思われるのです。
人にとって本当の幸せは、死ぬまで自分が主役として生きること、そして誰かに必要とされ続ける事だと思います。ところが、世界一の長寿国である日本は、この幸せを味わうことが難しくなっています。昭和30年代の人々を演じる「住人」たちは、ひとりひとりが主役だったはずです。
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