過疎地の箱モノめぐり 
 vol.95  2002/8/14

 このコメントは「過疎の箱モノめぐり」と称して、どなたのHPなのかまったく分かりませんが、但馬地方をドライブした際のコメントとして紹介されています。たまたま但東町を検索した際に出てきたものですが、過疎地での箱モノを運営するものとして真摯に耳を傾けなくてはと考えます。どなたか分かりませんが、勝手に掲載させて頂きますがよろしくお願いします。不都合がありましたら連絡頂き次第、すぐに削除させて頂きます。以下、全文です。

 ゴールデンウイークは、直前まで予定が決まらなかったので、4月30日の時点で宿泊可能なところを探すことになり、神鍋高原という但馬地方(兵庫県北部)の冬場はスキー場になるエリアにペンションを見つけて一泊二日で行ってきた。自動車で行ったので、近く(といっても半径50キロぐらい)の見所を、計4箇所めぐってきたのだが、結果的に「村おこし」「町おこし」施設をまわることになってしまったので、そこで考えさせられたことなどを述べてみようと思う。

 初日は、混雑する中国自動車道から、がら空きの舞鶴自動車道(日本海側へ伸びる、日本列島の長軸方向とは概ね直交する方向に走る高速道路)に入って福知山まで乗り、そこから国道で、かつて但馬地方の中心だった城下町、出石に入った。出石は今では城こそ無いが、櫓や家老屋敷を始め城下町の風情がよく保存されている。桂小五郎潜伏の記念碑は、たいしたことがなかったが、旧商家を改造した町立の小さな博物館が、建造物自体の価値もアピールしながら歴史的な展示物をうまく展示していてよかった。また、藩主の仙石氏が信州上田から国替えで来た際に一緒に入ってきたという由来の名物出石そばもおいしかった。ゴールデンウイークのためもあって観光客は多く、活気があった。伝統や知名度を生かした観光産業を中心に、町おこしが成功しているように見えた。

 次に、村岡町菟田野の「木の殿堂」という施設に行った。安藤忠雄の設計で、木造住宅や木工品のよさを触れながら味わえる「体験型展示施設」というもののようだった。こちらは、木の香りが充満した明るい施設で、立地全体が岐阜の「養老天命反転の地」に少し似ていた。広大な敷地に広場、フィールドアスレチックなどの施設が併設されていて、それなりに観光客もいた。しかし、ここは出石とは違って、全く何もない原野のようなところに取ってつけたように、この施設だけがあるという感じが濃厚で、観光客もゴールデンウイークだからこそ、そこそこいるだけではないかという気がした。入場料、駐車場とも無料で、展示もそれなりに良くて、館員の人も親切なので、良かったといえば良かったのだが、これだけを売り物にして阪神間から人を集めるだけの魅力があるかといえば、疑問の残る施設だった。

 翌日は神鍋高原のスキー場の近くにある「ゆとろぎ」という、いわゆる公営温泉ランドに行った。「ゆとり」と「くつろぎ」をテーマにしているので、この二つの言葉を合成してつけた名前だという。ここの良いところは、ほとんどの風呂が水着で入れるので、妻と二人で行っても別行動しなくてすむところだ。「風穴の湯」は、古墳を思わせるような盛り土の地下に風呂があって、おまけに中心部から湯が湧き出てくる趣向になっていて、気に入った。ドラゴンクエストで、アイテムを手に入れる場所のようだと思った。これ以外にも、室内プールのような広く天井の高い風呂に、太い柱がたくさん突き立つ「柱の湯」、川のように長く広い「露天風呂」、屋外にわざわざテラスを造ってその中にしつらえた「気泡風呂」、桧をふんだんに使った「林の湯」など、凝った建物が多かった。結局、地元の建設業者に少しでも多くのお金を落とすことが、主な目的で作られた建物ということだろう。でも、利用して快適だったのは確かだ。税金を少し取り戻したような気がした。

 「ゆとろぎ」の近くで、「但馬ドーム」なる巨大な建物が建築中だった。確かに一帯はスキー場を中心とした、スポーツが目玉のリゾート地と言えないこともないが、こんな過疎の地に「ドーム」を造ったからといって、2〜3時間もかけて阪神間から大挙利用者が来るはずもなく、閑古鳥が鳴くのは目に見えているのになんて馬鹿なことをするのだろうと思った。

 この日の午後には、但東町立の日本モンゴル博物館に行った。ここは、過疎で悩む但東町が、ある学者を通じた縁でモンゴル共和国と友好協定を結び、元モンゴル大使館員(現在、但東町教育委員)の全面的な協力で、モンゴルの歴史や文化を豊富な展示品とともに紹介しているところだ。やはり、最近できた「過疎地の箱モノ」らしく、きれいで凝ったつくりのこじんまりとした建物だった。しかし、展示物の充実ぶりは目を見張るものがあった。モンゴル高原を中心とする中央ユーラシアの歴史や風俗が、見やすいレイアウトで非常に詳しくかつ生き生きと紹介されている。しかも、チンギス・ハーンなど歴史的なことや「遊牧民のくらし紹介」のようなお決まりの展示ばかりでなく、現在のモンゴルで人気の歌手や、昔から親しまれている羊の膝の骨を使ったサイコロのような遊び道具、現在も多くの人々が信仰するチベット仏教の曼荼羅やお守りなど、同時代的なモンゴルを知ることができて大変面白かった。一面では確かに「過疎地の箱モノ」に過ぎないのだが、テーマの選び方と作り手の熱意から、「日本」モンゴル博物館として名前負けしていない内容だったと思う。ただ、但東町の中でも辺鄙なところにあり、ゴールデンウィークにもかかわらず、来場者がまばらだったのは、少し残念だった。
最後に、これらの施設の原資の一部を拠出した納税者としての立場から、各施設を100点満点で評価してみる。(<= 偉そうに!)

出石町 70点 合格!
木の殿堂 40点不合格、もう一工夫欲しい。
ゆとろぎ 50点不合格、動機の不純さが目につく。
但馬ドーム 0点 落第! 顔を洗って出直せ
日本モンゴル博物館 80点 合格!