人も心も動く春 
 vol.87  2002/4/12

 今年の桜は記録的な早咲きで我家に隣接している但東北中学校の桜も葉桜になってしまいました。この桜に替わるように、今日から但東の春を告げるチューリップ祭りが始まりました。100万本のチューリップの他にも菜の花やパンジーが咲き競いあっています。アートフラワーは新しい21世紀へ船出した「宇宙戦艦ヤマト」です。25日まで開催されていますので、ぜひ博物館と一緒にご覧くださいませ。
 この春風に誘われて、今日から早起きをしてみました。いつもは夜が遅い典型的な夜型人間なのですが、新しい年度が始まったばかりですし、「春からは朝型人間になるぞ」と昨年暮れに退院した頃から考えていたことなのです。思っている割にはなかなか実行に移せないところが人間の性なのでしょうか。いつも健康にビクビクしながら入退院を繰り返してきました。そんな中で、元気に過ごす時間が少しでもほしいと願ってきたのも事実です。そして朝は、そのための小さな小さな第一歩なのだと考えるようになったのです。

 但東が生んだ教育者「東井義雄」の言葉に「朝、目が覚めたら生きていた。今日も生かされていた」というものがあります。健康な時にはわが春を謳歌するような生活をしていました。10年前の4月10日、ちょうど桜の満開の時期にモンゴルから東京女子医大に緊急搬送されて帰国しました。春雨が降っている成田空港に着いた様子を、まるで昨日の事のように思い出すことができます。そっと傍らに寄り添っていた子供たちは高校3年と中学1年になっています。当時のことを鮮やかに記憶していることはないでしょうが、気がついたらいつも体調の悪い父親が傍らにいることだけは10年間変わらない生活です。
 東京女子医大のICUに入ったのは夜遅い10時頃だったように記憶しています。それからどれだけ寝ていたのか分かりませんが、「目が覚めたら生きていた。今日も生かされていた」ことを自分の動く手を見て知りました。毎年、全国美しい「桜百選」などと紹介されていますが、私が一番美しいと思っている桜は、なんといっても東京の桜です。この季節になると、いつも思い出さずにはいられない東京女子大のベットから眺めていた桜なのです。少し葉桜になった誰も気にも留めないような普通の桜です。今でも薄いピンクの花一枚一枚と深い緑色の葉一枚一枚までが脳裏にしっかりと鮮明に記憶されています。こんなことを思い出しながら、早起きで浮いた仕事前の1時間を大切に使いたいと思います。

 春の人事異動は去る人があれば、来る人もあるように、教育委員会も退職者と新しい職員を迎えました。博物館は昨春に大きく異動したこともあり、今回は全員が保留しました。春からは完全学校5日制も始まり、博物館の果たす役割もこれまでとは大きく変ってくることでしょう。5・6日はCS放送局の取材があり、30分番組2本が作られました。6日の取材は風邪を引いてしまい、まったく声が出ない状態でした。職員と交代しての取材でしたが、たまたま出演者の中に息子がいましたので、制作側が急遽、息子を「小館長」役として取材を進行してくれました。6月頃に放送される予定とか・・・・。声は相変わらず1週間以上も出ないままで、仕事にも支障が出て少々不安になってきたところです。巷では教育委員会の歓送迎会で大騒ぎするからだと言われているようですが・・・・・本当に風邪なのです。

 平成13年度の博物館入館者は前年度増になりましたが、厳しい環境には変わりません。今年度も是非とも入館者を増やしていきたいと思いますが、下手な小細工よりも博物館本来の姿について真剣に考える年にしたいと考えています。数字だけで博物館を評価できるわけではありませんが、博物館環境が厳しければ厳しいほどにやりがいを感じる仕事にもっていけたらと思います。5月から博物館土曜サロンと称して、館長室を開放していく予定ですし、図書館同様に図書の貸出し、子供たちと半年かけて復元する竪穴式住居など。4月18日からは第16回企画展「DOKI DOKI 縄文ワールド」を開催します。見るだけではなく、体験型の企画展ですので、どうぞ親子で参加してください。
 博物館もいよいよ6年目の春、こんな小さな施設ですけど、これまでどれだけ多くの人たちと出会い、そしてどれだけの影響を受けてきたのでしょうか。春は、人の心を動かしてしまう不思議な季節です。