◆ またかと言いたくなる外務省の醜態。今回のアフガニスタン復興会議へのNGO参加問題に端を発した混乱は、田中外相と野上事務次官の更迭、鈴木宗男議員の議院運営委員長辞任という形でケリをつけようとしていますが、多くの国民は納得していません。またしても真相は闇の中に葬られ、力の論理で処理されようとしていることに危機感さえ覚えます。確かに田中外相側にも大臣としての資質を問われるような問題点も多かったのでしょうが、それにもまして外務省は腐りきっています。事務方は情報を外相に上げず、外相は官僚を統制できず、やられぱっなしの状態。そして、鈴木宗男議員と外務省との関係とはいったいどんな構図なのでしょうか。今回の一連の流れでも明らかなように、本来は関与すべきではない議員の発言や意向が外交政策に反映されるのは、一般国民としてはどうしても不可解であり異常な状態であるとしか言えません。また、それを安易に受け入れてきた外務省とはいかなる役所なのか疑問です。
そして、肝心なNGOとの関係はどうなっているのでしょうか。国際社会が一致団結して新たな一歩を歩みだそうとしているアフガニスタン復興会議。せっかくの会議に泥を塗った日本外交は、やはりこの程度なのでしょうか。誰にも分かりそうな問題を難しくしているのは役所そのものの体質であり、エリート意識のみが先行している役人気質そのもののように映ります。在外では外交官という特権階級を経験することで、人とは違うんだという特別な意識を生む現在の制度にも起因している気もします。次から次へと出てくる外務省スキャンダルを見ていると、そんな気がしているのは私だけでしょうか。
ふてぶてしい髭面の野上事務次官、頼りなさそうな重家中東局長、テレビを見ていて不愉快でした。首相の他人事のような答弁にもガッカリ。またしても派閥の論理が優先したり、今回の更迭劇で得したのはいったい誰なのでしょうか。真相は一つだけなのでしょうが、日本人の「髭面」に対する嫌悪感は野上事務次官にはマイナスイメージだったでしょうし、昨年逮捕された外務省職員といい、外務省は本当に「ひげ」がお好きなようで、自身の自信無さをまるで髭で隠しているかのように感じます。
◆ 91年6月、モンゴルの首都ウランバートルで日本文化を紹介する「日本週間」が開催されました。当時、大使はキューバへの転勤が決まっており5月に帰国。まだ新大使が着任していない状態でした。レセプションや各種行事が予定されていることからも、大使不在のままではおかしいということで、帰国した大使がその期間だけ呼び戻されました。そんなところに、当時の外務政務次官としての鈴木宗男議員が偉そうな態度でモンゴルにやって来たのです。90年に政務次官になったばかりですので、かなり張り切っていたのは誰の目にも明らかです。朝早く大使館に来られ、大使と打合せ。二人の会話を脇で聞いていると、鈴木議員の声がにわかにかん高くなり、お叫びのような感じさえ受けました。応接室のテーブルを蹴りながら怒鳴り散らすやり方は、現在も変わらないようです。急遽、東京まで国際電話をつなぐよう命じられ、当時の自民党幹事長だった故小渕敬三氏が呼び出され、「大使と俺のどっちをとるのか即座に返答しろ」と詰問する始末。話の行き違いがあったようですが、それにしてもこの横暴なやり方には誰もが驚き、かつ恐怖心さえ生れるものでした。これだけで済むのなら良かったのでしょうが、肝心のレセプションの席上でも悪態。要人が集まっている中で、大使を椅子に座らせ罵声を浴びせる姿はあまりの酷さです。それを見ていた関係者の誰も止める者は一人もおりませんでした。一介のにわか外交官にとっては、ただただ驚愕するばかり。温厚な大使だけに気の毒そのものでした。人から聞いた話ではなく、自分の目で見た鈴木宗男議員の真の姿です。
◆ 鈴木宗男議員の手法として、名も無い外務省若手職員をかわいがったりするのも事実ですし、親分気質もその通りだと思います。北海道選出ということもあり、北方領土問題やロシア問題にも積極的に取り組んできたのも事実でしょう。そして、人間関係を大事にすることもよく知られたことです。周囲には胡散臭いうわさがたえないこともよく耳にします。いずれにしても、このアメとムチを上手に使いながら、外務省と関わってきたことも事実でしょう。「うるさ型政治家」、その一方で「細かな気配り」、これを武器に政界でのし上がってきたとも言われています。官僚からは「敵に回せば怖いが頼りになる」との評。
昨年後半からある新聞社の社会部記者から問合せが続き、ある議員による外務省への圧力について調査している旨の連絡がありました。ある程度の察しはついていましたが、今回のような形になるとは想像だにしていませんでした。でも、表に出ているのはほんの一握りでしかすぎず、裏では様々な働きかけがあることも事実だと聞いています。必ずや近い時期、鈴木議員に対する圧力は強まり、噂話だけでは済まされない事実が明るみになると思います。
◆ 田中外相もしかり。機能不全に陥っている外交をみても明らかなように、外相としての資質に大きな問題があります。直感と思いつきで行動されることが度々見られましたし、国民的な人気度とは裏腹に省内では孤立無援状態。意思疎通を欠いたままで、省内の改革もままならないのが現状だったのでしょう。でも、今回だけは田中真紀子さんも気の毒だと思います。伏魔殿と呼ばれる化け物屋敷に一人立ち向かった人物として評価してもいいように思います。またしても機密費や裏金問題など山積している事案も藪の中になってしまうのは残念至極です。問題の核心が首相にはぐらかされたような思いで、どうもすっきりしません。影の外務大臣と呼ばれていた鈴木宗男議員の影響力も弱まって喜んでいる職員も多いと聞いています。真相の解明と国民の不信感を増大させた外務省の体質改善、族議員と役所の癒着、きっちりして頂きたい。その行方はけして明るいとは言えないのが残念。更迭劇の行く末はどうなるのでしょうか。農水省のBSE問題といい、日本の政治に対する不信感はすでにピークに達していることを政治家一人一人が真摯に受け止めてほしいものです。
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