◆ 天高く馬肥ゆる秋。空が高く澄み、馬もよく食べて太る季節です。こんなことを書きながら昨日は近畿地方にも木枯らしが吹き、寒い一日となってしまいました。落ち葉が風に舞い、朝夕の冷え込みも気になる季節です。そんな季節は新そばのころでもあります。秋の初め畑一面を白く染めたソバの花が、黒い実を結び、刈り取られ、年ごとの味をもたらしてくれます。但東も県下一の作付面積を有しており、先日はそばの郷で新そばの収穫を祝う「そば祭り」が開催され、多くの人たちでにぎわっていました。
暦は月が変わって、里の秋も足早に過ぎていきます。こんな時期に博物館も一つの節目として丸5年を迎えることができました。ようやく子供が成人を迎えたようなもので、これからが一人前の博物館として責任を持って取り組みたいと思います。5周年感謝祭は9月23日に終えていますが、11月3日で満5歳を迎えました。5年前の今頃は忙しくマスコミ対応に追われながら、「地方の博物館はこうあるべきだ!」などと少々気負っていたところもありました。最近になり、ようやく肩の力を抜いて仕事ができるようになり、プレッシャーとストレスから徐々に解き放たれてきました。それでも性格なのか、いつも何かに追われている感じがしないと落ち着きません。
開館するまで打合せや準備室として使っていた応接室を、館長室として使わせてもらっています。欲を言えば、本当は作業ができる大きなテーブルが一つあればこと足ります。応接セットも書架も何も必要がなく、ただテーブルの上に乱雑に置き、いつでも仕事ができる雰囲気にしたいのが本音です。整理整頓を旨とする役場仕事では敵わぬことでしょうが、少々窮屈です。ただでさえ自由奔放に仕事しているのに、束縛されることは何にもまして息苦しいものです。そういいながら、本当は管理社会にドッブリ浸かっていたはずなのに・・・。サラリーマン生活でも、外務省時代でもいずれも上下関係にキュウキュウしながら抵抗し続けてきたのに、40代半ばになりその気力も一時期に比べやや薄れてきたんじゃないかと思うこの頃です。
◆ 友人の結婚式のため青森に出掛けてきました。一緒に出席している友人たちは態々モンゴル博物館を訪れてくれた仲間たちです。そして、彼らの中から誰とはなしにモンゴル博物館は「癒しの博物館」だよと言われました。最近は「癒し」という言葉が氾濫しているので、チョット躊躇してしまいました。そんなことを意識して運営してきたわけでもないし、むしろ他の博物館に追いつきたいことばかりを願って運営してきただけに、どうしてこんな呼ばれ方をするのかよく分かりません。意識して運営してきたわけではなく、結果としてそのように感じられる博物館になってきたのだろうと勝手に理解しています
そして、私たちの新しい挑戦も今まさに始まったばかりです。その準備としての5年間であり、試行錯誤の時間であったようにも思います。博物館をもっともっとわがままに使える環境が整うまで、きっとこれからも博物館のイメージを破壊するような活動をしたいと考えています。大昔にできた博物館法が現在に適さないことは誰の目にも明らかなはずなのに、依然として博物館という堅苦しいイメージの呪縛から解き放たれていません。残念ながら本当に知らないでいるのは関係者だけのようです。そして私たちが取り組むことはいつも目の前にころがっています。それを一つ一つ片付けていく。飛ばしたり、はしょったりせずに着実に解決していく、それが大事だと考えます。そして、プロとはもっと自分の仕事に誇りをもつ必要があるでしょう。それがたとえ厳しい努力が求められようと、笑顔の努力に変えてくれるものと信じています。
◆ 仕事を進める上でひらめきは誰にもあるものですが、それを見逃してしまえば1文の価値もなくなってしまいます。自分を育てるためのお金や時間や努力の投入、これらを惜しまなければきっと何もかも必然のようにうまくいくかも知れません。しかし、多くの行政マンに共通していることはおしなべて判断の情報量や世界が狭いと言うことです。それは身内の論理やルールで仕事をしているからなのでしょう。
ある県の埋蔵文化財センターに勤務されている方が、自分のホームページで埋蔵文化財を子供たちにも分かりやすく教えたり、人気の高いページを作っていました。また、この中では発想の転換や視点を変えてみると、一般的に言われていることも実はチョットおかしいのではないかと言う複眼的に物事を考えられることを事例紹介していました。時として、この方針が関係者の逆鱗に触れたらしく、当局から圧力が掛けられ、先般とうとうホームページを閉めてしまいました。言論の自由こそが民主主義の第一歩なのに、この県では上から横から強い圧力を当人に掛け、優れたホームページを封印させてしまった功罪は大きなものがあります。こんな県が新しい県立美術館を建設し、目玉としてシャガールが1942年に描いた舞台背景画「アレコ」シリーズ4点のうち3点を15億2955万円で購入しました。物議を呼んだものであり、実際の評価は購入額の1/10とも言われているものです。ミレーの美術館として名をはせた山梨県立美術館とは基本的に違うと思うのですが・・・。こんな体制の文化行政では、今後の運営にもあまり期待できそうにないのですが、当局はどのように考えているのでしょうか。自分たちの足元を厳しく評価していく自己点検も必要でしょう。私たちも含めて・・・。いずれにしても自由闊達な雰囲気が文化を育む潤滑油になることを知ってほしいものです。
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