◆ そもそも博物館法でいう博物館とは・・・?当たり前すぎますが、歴史・芸術・民俗・産業・自然科学などに関する資料を収集して保管する。また、それらを活用して一般の利用に供すると同時に、これらの資料に関する調査研究を行う機関が博物館になります。
じゃあ、学芸員っていったいどんな人たちかといえば、基本的には博物館や美術館で働く人たちで、かつ博物館本来の目的を果たすための専門職員です。博物館法では「専門的事項をつかさどる」ことになっており、全ての分野に長けていることが要求されています。しかし、高度化・多様化する社会に対応できていないのが現状です。この博物館活動における学芸専門職が学芸員となるのですが、欧米の博物館と違って日本では雑芸員と呼ばれるような雑用から何でもこなしているのが一般的です。地位も意識も低い日本の現状なのですが、大学では学芸員養成講座が人気なのです。毎年、100以上の大学で数千人にも上る学芸員が養成されています。学芸員の資格は大学の単位を取得すればいいのですが、実際の就職となると話は別です。年間数千人の資格取得者がいるにもかかわらず、その求職率はわずか1%程度だと言われます。ほとんど可能性がないというわけです。本気で学芸員になりたい人たちにとっては気の毒な状況です。このことから、学芸員の資格を有する一般の人たちがいかに多いのかも容易に想像できます。大学での単位取得は単に形式的なもので、現実の博物館に勤務すると、それぞれの専門分野における即戦力はもとより、関係分野に渡る幅広い知識が要求されてきます。
◆ 当館でも夏休みを利用した学芸員を目指す実習生を引き受けています。そして、開館以来、学芸員として当館に就職希望される方からの問合せも多くあります。しかし、当館としてはなかなか受け入れられないのが現状です。あくまでも地方公務員としてであれば自治体の就職試験を受けてからとなりますし、小さな町では職員定数が決まっていて思うように人員を増やせません。まして学芸員のような専門職になると他の部署にも回せず、人事異動の対象にもならず、定年まで博物館という職場に居座り続けることになります。本人にとっても、役場にとっても不利益を受ける格好となります。現状でも学芸員の資格を有していながら、博物館以外で働いている役場職員もおります。
大きな施設では新卒をそのまま博物館の職員として採用することは当り前でしょうが、小さな施設においては職員教育ということもあり、現状ではなかなか困難です。むしろ役場職員として様々な部署を知ってから博物館の仕事を始めても遅くないと考えています。基本はあくまでもサービス業なのですから、サービス業が何たるかも知らずに採用されること自体、本人にも利用者にも不幸なことです。知識だけでは博物館の学芸員は務まりませんし、まずは人が好きだということが肝要かと思います。大きな施設で働く学芸員の人たちを見ていると、チャンスがあれば大学等の研究機関への異動をうかがっている人たちも多く、真剣に学芸員とはなんぞやという気持ちになります。県立博物館に勤務していた方からの紹介で、地方博物館に学生を紹介されたまでは良かったのですが、その後、すぐに県立博物館を辞めて地方大学の助教授に就任されたというケースもよく見られることです。こんな状態では博物館学芸員の地位も意識も向上しないのも無理からぬことです。この助教授から博物館講座を受講している学生たちを思うと・・・気の毒です。
◆ 小さな施設での実習生受入は、本来の業務を割いて指導しなければならず、一人あたりの負担が大きく増えてしまいます。しかし、短い期間ではありますが博物館の裏側を一緒に考えてもらう機会になっていることは事実です。たとえ博物館以外の仕事についても、博物館をより深く知るファンが多くいることを私たちは意識すべきだと思います。普通の博物館であれば学芸員であっても何でもやらなければなりません。まして数名で運営されている博物館であれば尚更です。こういう現状を理解していただいた上で、大学で学んだ専門知識を博物館のボランティア活動の中心として関与してほしいものです。
モンゴル博物館であれば、名前からしてモンゴルのことばかりやっているように思われがちです。しかし、但東町教育委員会の中での位置付けはまた別なのです。生涯学習施設としての博物館ですので、様々な事業を抱えています。文化財活動では、町の文化財保護として遺跡の緊急発掘調査、古文書調査として「にょろにょろ文字」を解読、古い建造物の実測調査というように多様な文化財調査があります。企画展示も年数回開催し、体験教室や博物館講座など、一年を通して様々な業務が待っています。このように小さな博物館では想像以上に業務が多岐に渡っており、本当に博物館の好きな人たちにとってはたまらない職場だと思います。新しいものに挑戦する気持ちさえあれば、必ずや報われる職場だと思います。むしろ大きな施設ほど、身動きが悪く、思うほどに仕事ができないのが現状ではないかと思います。
来年も既に希望者がおり、学生と両親が一緒に挨拶に来たばかりです。私たち職員も学生に負けないよう、日々研鑽に努めたいと思います。
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