◆ 長引く不況の中、地方文化の活性化に努めてきた全国の公立博物館は、独立法人化や予算削減などのハンディを負いながらも特色ある活動を模索し始めています。博物館を取り巻く環境が新たな時代を迎えていることは関係者らの共通した認識です。80年代以降、全国に博物館や美術館が全国的に増加し、驚くほどほどの隆盛ぶりを見せてきたといえるでしょう。でも、その後の20年間で文化が本当に根付いたかは疑問です。基本的に利用者は博物館に学習に来るのではなく、面白いから来るのです。博物館は今後、宝物のように展示して見せるだけではなく、「触る・使う・体験する」施設に変わっていくことでしょう。箱モノ行政と厳しく批判される中で、市民が参画してこそいいものになっていくことなのでしょう。長期的なスパンで考えなければならないことだと思います。地方文化は地域がそれぞれの個性を持ち、元気なことが望ましい形ですが、現状は中央を基準として同じような均質の文化を構築してきたようにも思えます。文化を扱うには自由な発想が必要とされているにもかかわらず・・・。
◆ 博物館や美術館とのお付き合いは学校の授業の一環として行ったきり一度もないという人たちも多いようです。要するに博物館が親しみにくい存在だったのかも知れません。ハード(建物)は立派ですが、ソフト(人材)は貧弱と言うのが日本の博物館や美術館に対する批判の通り相場です。講演会、解説会、はもちろん、博物館での音楽コンサートや結婚式などイベントを開き、日頃なじみのない利用者にも呼び寄せようとしている姿が目立ってきました。。
当館では今日から「トライやるウィーク」の始まりです。近所の但東北中学校2年生3人が月曜から金曜まで、博物館での実習を予定しています。初日は朝一番でトラックに乗せられ、職員に連れられ竹野町へ向かいました。解体した農村歌舞伎舞台の附属品(花道・二重舞台・道具箱)を貰い受けに出かけて来ました。午後からはたまたま予定されていたテレビ番組の取材を見学、また明日から始まる近世社寺の実測調査の説明。普段見なれない博物館の裏側をほんの少しだけ垣間見た中学生たちでした。これを機に博物館をが身近な存在として関心を持ってもらえればと思います。
◆ 九州共立大学の佐々木晃彦教授が書いていたコラムです。博物館の受付で「ようこそ、いらっしゃいました」と迎えられることはほとんどないそうです。受付が一人の場合は単に来館者を待ち、二人の場合は笑顔で私語を交わしますが入館者には機械的な対応をしているケースが目立つと指摘していました。受付が唯一、来館者と接触を持つ場所であることへの自覚が足りず、誰のために働いているかの認識が薄いとも・・・。また、「再入館お断り」「手を触れないでください」など、入館者を管理する用語が目に付きます。開館時間も午前9時から午後5時まで、休館日も毎週1回設けています。総合評価として現在の博物館や美術館は利用者と無縁になる要素があまりにも揃いすぎているとも酷評されています。博物館や美術館が提供する「サービス」は入館者なしには存在し得ないし、場所と時間も制約されている状態です。21世紀の博物館や美術館のあるべき姿が模索されている中、まずこのような日常的課題を解決することが急務であると結んでいます。難しい議論やマネージメント研修も必要ですが、当たり前のことが当り前のようになされていないことを私たち関係者は反省すべきでしょう。
もっと利用しやすく楽しい博物館が増えるよう、館側も利用者側も協力し合い、工夫しあっていきたいものです。
モンゴル博物館は4年半前に開館しましたが、但馬の山間の緑に包まれた小さなミュージアムの前途に、夢を抱く多くの友人たちができました。発展途上にある日本の博物館や美術館ですが、今年は「楽しい場作り」をという同じ夢を持つ人たちと共有していきたいと考えています。 |