美術館・テーマパーク不振 
 vol.64  2001/5/26

 99年に閉館したセゾン美術館、今年3月に閉館した東武美術館は、いわゆるデパート美術館であり、企業美術館です。いずれも年間20万から40万人を集客する美術館なのですが、それだけ厳しい社会なのかと痛感させられました。最近では東洋古美術コレクションで知られる大阪の萬野美術館が所蔵品の一部をオークションに出すといわれています。景気低迷が長引いている中での美術館経営の厳しさが背景にあるのは疑う余地がありません。競売にかけられるのは、鎌倉時代の「古瀬戸鉄釉印花菊花文瓶子」、平安時代の古筆切「石山切伊勢集」などの重要美術品7点を含む150点。萬野美術館はバブル崩壊までは、財団の基金の利子で運営していくことができたという優良美術館です。しかし、金利の引き下げが実施されてからは、財団運営は急激に厳しくなっていたのでしょう。スタッフ削減など対応を探っていましたが、追いつかなかったようです。今回の措置は痛みを伴う決断ですが、徹底的な館蔵品の見直しを行ない、活動方針とは異なる作品や、同種の作品を重複して所蔵しているケースをリストアップしているとも聞いています。この決断で美術館としての将来像が具体的になり、館の個性や存在意義が確立していくはずだとも強調しています。
また小さな博物館として好評だった吉沢深雪小さな美術館が8月で閉館することになりました。県内では洲本市にあったアルファビア美術館が閉鎖されました。淡路花博の影響と言う人もおりますが、それ以上に潜在的な問題が深刻化していたことなのでしょう。
 これらの美術館に共通して言えることは、企業として社会を豊かにするのみならず、人材を育成し、経済をも支える文化を育てる活動に更に深く関わってきたという事実です。芸術文化支援・メセナの歴史は僅か10年程度ですが、経済の後退と同時に純粋な本物の形として最近は定着してきたように思うのです。企業メセナが根付いてきたといわれて久しいのですが、やはりまだまだ未成熟ということでしょうか。あるいはそれほどにこの不況は底無しだというべきなのでしょうか、何とも複雑な気持ちです。国立博物館や美術館がこの春から独立行政法人として再出発していますが、具体的な動きや声はまだ聞こえてきません。

 地方テーマパークにおいても同じ状況です。大阪にUSJがオープンし、東のディズニーランドと西のUSJと言われるように2横綱時代になりました。余暇開発センターの調べでは、98年度ではピーク時の2割減と落ち込み、経営環境はよくないと指摘しています。宮崎市の大型リゾート施設「シーガイア」が会社更生法を申請し、四国最大のレオマワールドが経営不振で休園し、倉敷チボリ公園や志摩スペイン村など、多くのテーマパークでも集客が伸び悩んでいる状態です。熊本にあるアジアの風景を再現したアジアパークも開園から7年で解散決議がなされたと聞いています。シーガイアの倒産から教えられることは、地方はその地方の自然や産物、郷土色などを生かし、地方なりの発展を模索するべきだと思うのです。つまり、身の丈にあった発展を目指していくべきだったのでしょう。テーマパークは言いかえればソフト産業です。ただ大規模な施設を作ったとしてもすぐに飽きられてしまいます。消費者の「安近短」を好む流れに沿って、都市部には商業施設と一体化した小規模テーマパークやテーマ型レストランが登場している状態です。これからのテーマパークは独自性をいかに構築していくかが、生き残りを左右するのでしょうか?