◆ 竹野に所用で出かけた折、本庄四郎さん宅を訪ねました。博物館活動でも毎年お世話になっており、その博識とユニークな発想と行動力にはいつも脱帽しています。竹野町の本庄さんは良く知られた方なので、あえて紹介もなかろうかと思いますが、学習塾を経営しながら兵庫県自然保護委員として、または自然インストラクターとして活躍されてます。今回は近所に作られたというビオトープを見せてもらおうと、突然立ち寄りました。にもかかわらず職場から急いで戻っていただき、現場まで案内いただき楽しい解説を聞かせてもらいました。知らないで見るとただの草の山、本庄さんの話を聞いて歩くと、「自然博物館」なのです。このギャップを感じながら、改めて博物館での解説業務の大切さを実感しました。また、本庄さんはカエル保護の全国組織「カエル探偵団」の団員でもあるそうです。
◆ 一緒に同行した博物館職員は以前に訪ねており、このビオトープのことはよく理解していました。普通、ビオトープというと、学校の隅に小さな池が作られているといったイメージが強いのですが、ここは2反はあろかという広大な広さです。自然の多い但馬は地域全体がビオトープと同じだと思っていたら、自然はそんなものじゃなく、一般的なアカガエルさえ減少している状況だそうです。産卵に必要な水場が休耕田の増加によってどんどん個体数を減らしてきたそうなのです。
ここはビオトープというよりも「里山」そのものといった感じです。本庄さんが借りている棚田に、自然の水路から水を引いて畦道を作り、乾燥していた棚田を人工池に作り変えています。池にはどれだけのオタマジヤクシがいるのか分かりませんが、相当数のオタマジャクシが見られました。アカガエルは兵庫県レッドデータCランクのニホンアカガエルで、体長5センチほどで体の色がややオレンジ色に近いそうです。本州や四国、九州の人里近い丘陵地に生息していますが、環境の変化に弱く、県の希少種に指定されています。
5月21日付の神戸新聞「論」に姫路市立水族館の市川専門員が書かれた「農村にもビオトープを」を読みました。本来ビオトープというのは、放したメダカや飛んできたトンボなどを観察させ、自然体験の少ない都会の子どもたちにその機会を与えるということが趣旨なのだそうですが、農村部には自然がたくさん残されており、そんなもの造らなくても、子どもたちは十分な自然体験をしていると思い込まれていると指摘しています。しかし、現状は都会も農村部も変わらず、逆にアウトドアに熱心な親のいる都会の子どもたちのほうが自然体験や動植物の知識が深いのではと疑問を投げかけています。そして、里の自然を保全・再生するには、自然離れが進みつつある農村の人たちの意識を改革し、再び、自然への関心を取り戻してもらうことが重要だと結んでいます。
考えてみれば博物館の脇にも大きなビオトープがあるじゃないですか。今まで気づかなかったのですが、夜ともなればカエルの大合唱、時折シマヘビが道路を横断したり、タヌキが出没したり、何と素晴らしいビオトープではありませんか。そんな視点から眺めてみると、ただの水田だったのが楽しく観察していけそうです。自然について考えさせられた一日でした。 |