◆ 新しい21世紀を迎え、各地でミュージアム・マネージメントに関する研修や講座が開催されています。江戸東京博物館では、3月16日と17日に「博物館における評価と改善スキルアップ講座」が開催されます。最近は「展示評価」という言葉をよく耳にしますが、具体的な話となるとなかなか難しい世界のようです。
人間は周囲の評価で、働く力が半分にも十倍にもなるものです。特に展示という行為を通して、モノと人を結ぶ博物館や美術館では気になる要素です。展示評価、行政評価など当事者による評価だけではなく、本当は評価が表に出にくい仕事でも、気にしながら見ている人たちが必ずやいるものです。自分の仕事が形に残るものもあれば、形に残らないものも当然あります。でも、こうした仕事の中にもその人らしさは表れ、見る人はきちんと見ていて、その評価が次の仕事に発展することがあります。こんな思いで、国立科学博物館で下記の研修に参加してきます。
◆ 平成12年度ミュージアム・マネージメント研修実施要項
<趣旨>
博物館の現状を幅広い観点から理解すると共に、博物館の管理・運営に関する専門的・実践的研修を行い、博物館の円滑適正を経営に資する。
<主催> 国立科学博物館 全国科学博物館協議会
<後援> 日本ミュージアム・マネージメント学会
<協力> 東京大学大学院教育学研究科
<期間> 平成13年2月19日(月)〜2月23日(金)
<対象>
(1)主に自然科学系博物館等の管理部門職員(館長、副館長、課長等)
(2)地方公共団体等の博物館行政担当職員
(3)その他国立科学博物館長が特に認めた者
<募集人員> 40人
<会場> 国立科学博物館 東京大学大学院教育学研究科
<研修内容>
1.特別講演 東京大学名誉教授 高階秀弥
「これからの博物館に期待するもの」
これからの博物館のあり方、役割などについて、西洋美術の研究者であり国立西洋美術館の館長も勤めた高階氏に提言をいただく。
2.ミュージアムパーク茨城県自然博物館長 中川志郎
「21世紀における博物館のあり方〜対話と連携の博物館をめざして〜」
日本博物館協会は文部省の委嘱を受けて21世紀における博物館の望ましいあり方について検討を行ってきた。とりまとめにあたった中川氏に検討の経緯や結果をご報告いただく。
3.ブリヂストン美術館学芸員 貝塚健
「博物館資料の管理〜美術館のコレクション・マネージメント」
資料管理のあり方について、科学系博物館とは異なる方法をもつ美術館の事例をとりあげる。
4.東京大学大学院教育学研究科助教授 鈴木真理
「生涯学習時代の博物館とボランティア」
社会教育学の立場から、生涯学習時代における博物館のあり方と、そこでのボランティア活動の意味を考える。
5.東京大学附属中等教育学校長 浦野東洋一
「学校と地域社会〜博物館への期待」
学校週5日制や総合学習の導入など、近年の教育制度改革と学校や社会の変化について理解を深め、博物館としての対応方法についての示唆を得る。
6.東京工業大学大学院社会理工学研究科教授 清水康敬
「博物技術との付き合い方」
情報通信技術の発達に伴い、教育の情報化が推進されている。このような状況の中で、学校教育や社会教育において果たす博物館の情報化について考える。
7.国立歴史民俗博物館助教授 小島道裕
「海外の博物館事情〜イギリスの博物館教育」
世界的に博物館の社会教育機関としての役割が強調されている。そり先進的な事例として、イギリスの博物館教育と、それを支える諸活動について紹介する。
8.北海道大学大学院文学研究科助教授 佐々木亨
「博物館を評価する視点〜行政評価を中心に」
博物館の評価といってもその方法はさまざまである。博物館を評価する視点を整理し、特に行政評価の方法について理解を深める。
9.前栃木県立博物館副館長 樋口弘道
「博物館の組織と運営」
これからの博物館運営に必要とされる組織や人材について、栃木県立博物館に設立当時からかかわってきた経験をもとにご提案いただく。
<討議> 各博物館における入館者数の傾向と対策〜入館者獲得に向けて(受講者全員)
<施設見学> 松戸市立博物館。来館者調査による展示と評価
展示評価プログラムを取り入れた企画展「戦後松戸の生活革新」についてご紹介いただき、あわせて開催中の学習資料展「教科書のなかの道具とくらし」等を見学する。
◆ こんな研修もありますので、是非とも多くの人たちが参加できるようなシステムになればと思います。ミュージアム・マネージメントは本来、管理者という立場ばかりではなく、博物館に勤めている職員が一通りの知識として求められるものものではないかと思います。学芸担当ならば、利用者がいなくても素晴らしい企画だけ取り扱っていたらいいというものでもありません。庶務が担当でも、本来の博物館業務を知らなければ仕事ができません。また、学芸、庶務、事務というように分けて仕事をしている人たちが、実際の現場にはそう多くありません。多くの人たちは市町村の博物館や美術館で、企画から掃除までオールマイティーにこなしているのが現状でしょう。そう意味でも、博物館に従事している職員が均等に研修を受けられる環境をお互い作りたいものです。 |