市町合併と博物館 
 vol.136
 2005/3/1

 但東町も1ヵ月後の4月1日に新豊岡市としてスタートします。市町合併の調整も最終段階に入っております。合併によって博物館や美術館はどうなるのだろうか? 関係者の誰もが想像していたことといえ、先が全く見えない状況での合併に不安ばかりがつのります。 
 最近では豊岡病院の跡地に美術館を建設したいという意見も聞こえてきます。早くも合併に伴う弊害が出てきました。現在ある施設の見直しもされず、豊岡市民の生活に近い場所に施設がほしいというのは合併を無視した行動にしか見えてきません。現在ある施設をどのように活用していくかは新市が引き継ぐ大事な財産であることを知ってほしいものです。
 教育委員会では、教育総務、学校教育、生涯学習、文化振興、スポーツ振興の大きく5分野になるようです。博物館等の施設関係は文化振興に所属しますが、各施設の取扱については未だに不明です。
 調整の協議に博物館関係者の意見が反映されることはほとんどなく、施設運営に携わったことのない職員が一方的に決めていくという信じられない調整のあり方です。各分野で最終的な詰めができているにもかかわらず、博物館等の文化施設、文化財に関する調整項目がいつまでたっても空白のままです。いかに文化に対する認識度が低いのか如実に物語っています。文化をなおざりにした国家の行く末がどうなるのか世界の歴史を紐解いて見れば誰にでも理解できる通りです。

 そして博物館に勤める私たちも合併を機に真剣に考えなければならない時期を迎えています。「何のための博物館?」ということを突き詰めれば、現在の博物館に求められている博物館の使命は、地域の自然・文化の保全・再生・創造のための研究及び情報の拠点となり、それと同時に総合学習や生涯学習の拠点となることが、この合併で明らかになっています。この点を踏まえ、お互いの垣根を取り払い、膝を交えた関係者同士の話合いも必要です。従来どおりのマニュアル的、権威主義的な会議はもう結構です。
 博物館の使命はその時代、時代によって大きく変化してきたことは事実です。現在でも評価の方法によっては、様々な使命を並べることが可能です。時代によって使命が変わるのであれば、現在の博物館は現実世界から乖離しているとしか言いようがありません。青色吐息の博物館は、まさしくこのギャップから生まれてきた所産だと思います。現代そして将来の博物館を運営する目的や使命、そして役割を果たすための手法やフィールドは、もっと柔軟に検討されてもよいと思われます。
 皆さん自身が勤めている「博物館のミッションは何ですか」と問われた場合、明確にすぐに答えられる職員が何人おりますか?博物館の基本的役割は、資料の収集、整理・保管、展示であり、他に調査研究、普及・教育とされ、常に教育施設として扱われます。それでは、何の目的を達成するために、資料の収集・整理・保管・展示の仕事をしているのでしょうか。
 合併を機に博物館の統廃合、指定管理者制度の導入は、社会全体の中での費用対効果という効率性の中で論じられる問題であり、単純な入館者数や行政内部の経費削減等の視点等で評価されるべきではないと考えます。入館者数だけを誇示する美術館、一点豪華主義博物館、御当地出身お抱え美術館・・・利用者が本当に求めているものをそろそろ気付くべきだと思います。