◆ 宮城県石巻市には毛利総七郎氏(1888〜1975)が収集した縄文時代から戦後にわたる貴重な考古・民俗資料があります。点数は5万〜7万というすごい量です。遠藤源七氏(1890〜1961)と協力して発掘した石巻市の沼津貝塚・南境貝塚から出土した骨角器や土器などの遺跡資料をはじめ、アイヌ民族の衣服や化粧品、仙台貨幣を鋳造した石巻鋳銭場の絵巻などがあります。骨角器のうち468点は国の重要文化財に指定されています。アイヌ関係資料のうち、下駄や竹の矢じりなど13点は米国スミソニアン国立自然博物館に貸し出され、現在、北米各地で巡回展示されています。石巻が世界に誇る「毛利コレクション」の重要性があらためて浮き彫りにされています。世界でも第一級資料である毛利コレクション。その保存活用のための博物館建設の話が出ています。
母方の祖母が毛利家に奉公していたこともあり、総七郎氏の人となりをよく聞いておりました。中学時代には休日となると、毛利家に行って土蔵の中を好きなだけ見せてもらいました。国の重要文化財になっている米山町網場遺跡出土の岩版も、好きなだけ手にとって観察させてもらいました。当時、あまり興味のなかった切込焼についても懇切丁寧に教えていただき、後々参考になったこともよくありました。
◆ 中学生だった当時、地元にはこんな素晴らしいコレクションと人物がいたにもかかわらず、博物館も美術館も何もありませんでした。博物館に行くには電車で1時間半かけて仙台に行かなければありませんでした。石巻にも博物館があったら毎日のように通い、もしかしたら人生が変わっていたかも知れないと思うときがあります。地元に博物館がなかったからこそ、大人になり博物館へ勤めたいと考えたものでした。今頃は通勤電車に朝晩揺られながら都会でサラリーマン生活を送っていたのかも知れません。
◆ 石巻市教育委員会では,平成12年に毛利コレクション調査推進室(平成13年8月から毛利コレクション整備推進室に改組)を設置して、毛利コレクションの全容把握のために所蔵資料の調査を実施しています。平成14年9月まで鏡・根付・矢立・喫煙具・アイヌ資料など3357点の調査を終えています。また、有識者からなる石巻市毛利コレクション等整備検討委員会の報告をうけ、毛利コレクションを核とした市立博物館を建設することとしています。早く完成し、みんながいつでも見学できるようになることを願います。 |