倉吉博物館のチョットいい話 
 vol.129  2004/1/30

 季節柄、寒いのは当たり前ですが、新聞の記事は冗談では済まされない寒々とする話題ばかり。暦の上では立春を迎えたわけですから、せめて明るい心温まる話題はないものだろうかと新聞の隅々まで読んでも、やはり現実は厳しいものなのか、鳥インフルエンザ、BSE問題、議員学歴詐称問題、子どもへの虐待、イラクの自衛隊派遣など、暗いおかしな話題ばかりです。それにしても急激に時代が変わっています。銀行がつぶれ、大手企業がリストラ、会社大合併、知らない横文字の会社。日本の良い伝統が毎日消えていくようで淋しい気がします。  

 倉吉博物館で昨年6月7日から29日まで開催された「山下清展」が、開館以来最高の3万7千人の入場者を集めたといいます。博物館の集客が、街ににぎわいを生み出したことで、市民からは「博物館がまちづくりの柱になり得る」と公共施設としての「役割」を再考する声が上がっています。山下清展の盛り上がりを一過性のものとしないためにも、集客面などで博物館のあり方を考えてみる必要があります。
「放浪の天才画家」の貼(は)り絵など約100点を集めた「山下清展」は日に日に反響を呼んで、連日大入りを記録。「見る人の想像力をかき立てる」「心の中の“懐かしさ”を呼び起こす」と評価された山下作品の魅力が、これまで博物館に縁遠かった人々を引き寄せたようです。さらに、来場者が博物館近くの「赤瓦」や倉吉パークスクエアに足を運んだことで、街のにぎわいを創出したとも言われています。イベントによる相乗効果は、1993年の倉吉農業博覧会以来のことです。
 会期23日間の山下清展が、同博物館の過去3年の年間総入場者数をいずれも上回ったことで、博物館という「施設の性格」を「見直すべき」との指摘もあります。倉吉博物館協会の理事の一人は芸術、考古分野の企画もそれはそれで大事な意味がありますが、もっと市民にアピールできる工夫が必要」と集客アップの取り組みを望んでいます。今回の盛り上がりを「大衆に溶け込む博物館」への転換点にしようという動きも出てきました。

 本年度の博物館運営予算は約1億200万円。財政難の同市にとって、大掛かりな企画展の開催は厳しいのが現状。だが、「金がない、というのはどのまちも同じ。やるか、やらないかという意欲の問題で、民間協力を取り込むこともできる」と関係者は指摘し、「日常生活にも『文化』があります。すべてに文化の視点を持てば個性あるものが生まれ、人も評価する」と行政側の行動力を求めています。
 倉吉市制50周年を祝って開催された山下清展は、合併や今後のまちづくりを見据えながら、既存施設の有効活用を考える契機になったようです。