モンゴル青年招聘(美術館・博物館学芸員) 
 vol.116  2003/3/17

3月12・13日と外務省の招きで、モンゴル青年招聘事業として美術館・博物館関係者が来館し、有意義な意見交換をしました。3月3日から14日までの期間中、東京国立博物館、国立西洋美術館、東京国立近代美術館、国立科学博物館、ブリジストン美術館、東京国立文化財研究所、文化庁、そして地方施設として大阪市立美術館と当館を視察しました。
 この外務省青年招聘は、各国において将来各界の指導的立場につくべき優秀な青年をグループで日本に招待し、青年との交流・産業・文化施設の視察等を通じて対日理解の増進を図り、もって相互理解に立脚した健全な両国関係の発展を確保するとともに、将来わが国外交の遂行を円滑にしようとするものです。
 モンゴルは自然と共生するという意味で他に類を見ない遊牧文化、アジアにおける遊牧民族の治乱興亡の歴史、希少動物、恐竜化石等を有しており、これら人文、社会、自然科学分野に関する美術館や博物館があります。しかし、90年初頭に民主化・市場経済化への移行が開始して以降、国内経済の混乱により、文化芸術の振興・保護は立ち後れが目立ち、政府からの美術館等への財政支援も減少した。そのため、各館が所有する貴重な文化財の修復、保存、展示は十分ではなく、劣化の進行や盗難による国外流出等というケースが見られます。今回は首都のウランバートル市内に所在しているモンゴルを代表する施設ばかりですが、地方の博物館は想像以上の厳しい環境の中で運営されています。バヤンホンゴル県の博物館はガラスケースが破損したままで、手を伸ばせば展示資料がいつでも持ち去られるというような状況です。キャプションに関しても現状にそぐわないものが多く、間違った解説も散見されました。学芸員らしき人物も不在で、管理人らしき人物が見学を希望すれば、どこからか突然やって来るような雰囲気でした。資料的には貴重なものも多く、博物館に勤めるものとしてはとても残念な状況に胸が痛む思いでした。

今回の招聘事業は、モンゴルの美術館、博物館の第一線で働き、将来を担う若手学芸員を本邦に招聘し、わが国の文化財保護・博物館政策、美術館、博物館等についての見聞を広め、本邦の関係者との関係を構築することにより、帰国後、被招聘者が訪日中に得た知識を活用し、美術館、博物館等の運営活動の充実に貢献してもらうことを目的としています。今回、来館した関係者は下記の5人でしたが、今後も継続的な招聘をお願いしたいものです。そして短期間の視察だけではなく、長期的な研修計画を望みたいところです。そのときには当館でも積極的に受け入れたいと思います。

教育文化科学省の芸術政策調整局副局長 プレブトクトホ氏 30歳男性
国立自然史博物館研究員 グンデグマー氏 24歳女性
国立民俗歴史博物館職員 バーサンジャルガル氏 26歳女性
国立ギャラリーのマネージャー バンズラグチ氏 38歳女性
モンゴル芸術家連盟調査員 ニャムフー氏 31歳男性