入館者20万人 
 vol.112  2003/2/1

  平成8年11月3日にオープンしてから6年3ヶ月が経過し、本日2月1日午前11時40分、20万人目の来館者を迎えることができました。20万人目の幸運を射止めた方は、阪神からご夫妻で久美浜に来られた帰りに立ち寄られた御奥様でした。奥田町長からモンゴル産のカシミアセーター、モンゴル・ウォッカ、20万人目の認定書、1年間有効の家族パスポートなどが贈られました。マスコミ関係者、博物館職員、役場職員の拍手を受けると驚きを隠せない様子でした。

 当館は、町立の「モンゴル文化や国際理解学習を推進する施設」として、人口5700人の過疎の町に誕生しました。20万人という数字がどうだこうだと議論するつもりはありませんが、年間平均3万1千人、一日平均入館者100人という数字になります。当然、季節やイベントに左右されることも多く、運営側としては入館者の数字は気になるところです。博物館は教育・文化的施設ですが、入館者が何回も来てもらえるよう努力したいと思います。交通アクセスが極めて悪いということもあり、子供たちだけで来館できない状況にあります。交通アクセスの良い阪神間のように、電車やバスでも来れる環境がうらやましく感じることもありますが、今一度、博物館を設置したときを思い起こしています。当博物館の設置目的や使命はなんだったのか、この機会に思い出しています。博物館受難の時期を迎えた最大の原因は、設置者側の使命の欠如だったのではないかと最近つくづく感じます。この「ミッション」について、今一度きちんとした意識を持つ必要があると思います。

 20万人の方にここまで足を運んでくれたことに感謝しつつ、但馬の玄関口としての位置環境に当たることからも、隣接している京都府との連携も視野に入れながら、「だれにでも開かれた博物館」を掲げた活動をしたいと、新年度の計画を進めています。完全学校週5日制、総合的な学習の時間、視覚障害者に対するバリアフリー化、フレキシブルな発想とフットワークの良さで誘客に力を入れたいと考えています。

 愛媛県香北町の「町立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」が、開館5周年を迎え100万人の入館者を記録しています。すっかり「アンパンマンの町」として知られるようになりました。香北町でミュージアム建設の話が持ちあがったのは、平成5年頃です。当初は町の総合文化会館を建てる計画で、一角に「やなせたかしコーナー」を設ける予定だったそうですが、やなせさんから作品や資金の提供を受けたことで、計画は「アンパンマン美術館建設」へと生まれ変わりました。アンパンマンミュージアムがオープンしてからの香北町は、まさにアンパンマンと二人三脚で歩んできた歴史そのものです。アンパンマンのキャラクター人形が並ぶ美良布商店街は、スタンプラリーや側溝のふたへのペイントなどで観光客にPR。町職員の制服や名刺にはアンパンマンが登場し、町長はアンパンマンのネクタイがトレードマークになっています。同町には現在、年間約60万人の観光客が訪れます。町長は「たとえミュージアムに行かない人でも、アンパンマンが呼び込んでいる効果もある」と評価しています。

 地方自治体が建設した「箱物」といえば、赤字がかさんで自治体の財政を圧迫する、というのがお決まりのパターンです。でも、同ミュージアムには当てはまりませんでした。入館料が町の収入になるため、運営を委託されているアンパンマンミュージアム振興財団の会計は見掛け上、町からの委託金や補助金が多いように見えます。でも開館した8年度以来、赤字は企画展開催による出費が増えた12年度だけです。累計赤字に転落したことはなく、12年度末で2千万円余りの黒字決算となっています。

 しかし、着々と「アンパンマンの町」の姿を整えつつありますが、課題も出てきているようです。入館者の減少です。初年度は、8カ月余りの営業で20万人突破。翌9年度も22万8千人を記録し、順調に入館者数を伸ばしました。でも10年度からは徐々に減り続け、12年度は17万5千人に減少しています。13年度は12年度をやや上回るペースですが、ピーク時ほどの勢いはありません。またメルヘン館の入館者数も、12年度で約6万8千人と低迷しており、両館とも何らかの対応が必要な状況に陥っています。町長は「人気を集めた手塚治虫展やドラえもん展のような企画展を開き、新たな魅力を発揮したい」と打開策を示しますが、建設費の起債償還など町の財政負担も大きく、町長は「今後は何らかのリストラを考えねばならないだろう」と語っています。アンパンマンミュージアムさえ厳しい現実があります。17日から国立科学博物館でミュージアムマネージメント研修があり、まずは館長自らの意識改革から始めたいと思います。