◆ 本資料群の最大の特徴は、何といっても国内に所在しているモンゴル民族資料の中で、体系的な資料が一括でまとまっているところにあります。3年間という短い期間で収集されていますが、豊富な資料で構成されています。また、資料を1点1点自分の目で確かめた上で、その入手経路がすべて明確になっていることも特徴のひとつです。モンゴル国の首都ウランバートル市に居住しながら、モンゴル人の話を聞きながら、使用状態を観察しながら直接収集できたことも特徴のひとつです。また、個人の関心の度合いによって資料を取捨選択しないよう計画的に分類した項目にしたがって収集するという基本的形態をとっています。
◆ モンゴルに対する興味の持ち方は、研究者によってさまざまであり、モンゴルに対する考え方や捉え方も各人各様であってもいいはずです。ある人にとっては近代文学史であり、またある人にとっては遊牧地域論であったりします。モンゴルとの関わり方も、各人や研究者個人の自由であっていいはずです。モンゴルという全体像を多方面から捉えることができれば、個別の研究も益するものがあります。民族学調査はモンゴルという大きさから比較すればまだほんの僅かでしかありません。その僅かな情報量をもとに、モンゴルの輪郭を少しでも明らかにしてみたいというのが、本資料群の目指すところです。モンゴルやアジアに対する研究者人口が確実に増えつつある昨今、このような試み自体もまったく無駄なものとも思われません。これからモンゴルを学ぼうとする人たちに、たとえ僅かでも手がかりをこの資料群がもたらすことができれば、3年余におよんだモンゴル民族資料収集調査の目的の過半は達せられたものと考えています。
◆ これまでの資料の収集活動も、究極的にはその立地する地域における生活文化遺産の体系化を理想として、資料群の形成を目指してきました。こうした体系的、計画的、継続的収集の中でさらに集約的な調査収集や失われた生活資料の掘り起こしにも留意したつもりです。個人的興味だけに基づく一過性の収集ではなく、あくまでも継続的な収集の計画から生まれた所産であることを明記しておきたいと思います。モンゴル民族の生活資料は一般の人々の生活行為の中で作り出され、伝承されていくものであるからその研究は生活の中に伝承されてきたものの綿密な採集と資料化を前提としています。
◆ また、中国の北京を中心として内モンゴル関係や遊牧民族関係の資料も収集しています。現在のモンゴル国だけでなく、アジアの遊牧民族という大きなテーマの中でモンゴル民族を捉えていければと考えています。その他にもブリヤート共和国やカザフスタン、キルギスタンといった周辺諸国関係の資料も少ないが含まれています。今後もモンゴル国を中心とするアジアの遊牧民族関係資料収集を続けたいと考えています。これまでの資料はあくまでも基本資料としながら、遊牧民族を徹底的に探れるような資料形成を目指すべきだと考えています。 |