| ◆ モンゴル博物館誕生 ◆ | |
| vol.15 | 過疎の小さな博物館から直接世界に向けて発信 |
| ◆ これまで「地方の時代」「文化の時代」と、町村レベルでも立派な文化施設が相次いで産声をあげてきました。しかし、当初期待された地域文化振興の拠点としての役割が十分に果たせない悩みを抱える自治体も少なくありません。施設を文字通り地方文化の発信源とするためには何が必要なのか、論議を深めていく必要があります。 出石郡但東町は人口6千人の過疎の町です。面積の9割が山林で、基幹産業の但馬ちりめんや農林業も不振で過疎化・高齢化にあえいでいます。地方の国際化と叫ばれて久しくなりますが、2年前この町に全国で初めてモンゴルの専門博物館を開館させ、但馬という地方から全国への情報発信を目指してきました。第1回全国モンゴルサミットの開催、南シベリアのハカス共和国ふれあいコンサート、モンゴル夏祭り。また、モンゴルで活躍している中堅画家を招聘し、40日間におよぶ創作活動を支援、最近ではモンゴルから博物館実習生も受け入れました。開館2周年事業として単発のイベントを開催するのではなく、「モンゴルの過去と現在」の出版事業を地道に手がけてきました。その他にもモンゴルの森林火災に対するチャリティーコンサートやマンホールチルドレンに対する支援なども積極的に行ってきました。 ◆ 過疎と呼ばれる山里の取り組みに、地域の世界感覚を期待してほしいと思います。モンゴルや世界の人たちが相互理解や協力の関係を通して「共に生きる地球家族」を目指して、「Think Globally, and Act Locally」というように、現在は地球的に考えて、地域的に行動すべき時代だと思います。お互いの努力が相乗効果をおこし、より深い文化理解、人間理解につながっていくことを期待しています。地方の小さな博物館においても、既成の概念や枠にとらわれない大胆な発想こそが今、切実に望まれています。そして博物館は地域住民に教育する場ではなく、地域住民が自分なりに感じ取る場だと思います。異文化と触れることによって、それまでと違った発想が生まれ、伝統を踏まえたうえでの新しい文化を創り出せるきっかけになるかも知れません。大阪や東京経由ではなく、過疎の小さな博物館から直接世界に向けて発信していきたいと考えています。 ◆ 地方における文化行政の掲げる目的のひとつとして、全国均一的な水準のサービスの提供があります。日本に居ながらにして、リアルにモンゴル文化に直接触れることができる博物館。これからの地方における文化戦略として国際化を志向することが必要不可欠です。地方博物館が地方へ迎合することなく、地方の文化が地方に安住することなく、必ずしも博物館が同じ方向を向く必要はないと考えています。いま地域に最も望まれることは、「地域は世界を変えていく」というような世界に通用する文化の発信基地たる地域像が求められているように感じられます。そして地域の存在理由を広く社会に問い掛けていくことが大事なことではないでしょうか。 ◆ 但馬に生まれた小さな博物館はまだその芽は小さく脆弱ですが、多くの町民やモンゴルの友人たちによって支えられてきました。今後、モンゴル博物館を全国の子供たちの国際理解の場にしたいと考えています。少しでも国際理解学習の拠点として身近に考える切り口になれば幸いです。これからの地方博物館は思考だけでなく、行動においてもグローバルであってもいいはずです。 |
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