博物館と地域の問題 
 vol.12  地域を主人公にしたサービスを展開し、地域に還元されるもの

 行政と民間が支えあって博物館を活用した国際交流を実践している都市があります。今春、山形県鶴岡市に草の根国際交流の拠点となる出羽庄内国際村ができました。住民主導の国際交流を支援する国際交流センターと文化人類学者の山口吉彦氏が収集したアマゾン民族資料を展示、収蔵する博物館を合体させたユニークな国際村なのです。但東町においても、地域の人たちは町の博物館にどういう姿勢を期待しているのだろうか。おそらく具体的な形では期待していないのではないかと思います。というよりも、理屈抜きに国際理解や郷土理解の育つ素地ができていくように、逆に地域の人たちが期待していなかった意外な効果があるものと考えています。町の民俗資料の展示活動はもちろんですが、積極的に町をアピールしていくだけの素材を準備する必要があります。例えば、民俗資料だけを並べるだけでは誰も積極的に来館してくれるとは到底思えません。町内外の人たちが誰もが楽しめるということはどういうことなのか、地域の博物館とは、そこの地域のためのものなのか、他地域のためのものなのか、そこが問題になってきます。他地域の人たちを呼んで見せるのであれば、強く特色を出したほうが良い。地域のためのものならば強い特色を出さないほうがかえって良い。逆説的ですが、特色を出せば出すほど、地域の人たちは離れてしまう可能性があります。文化は観光とは違うことに留意する必要もあります。地域の博物館という性格を考慮するならば、地域の人たちを主人公にしたサービスを展開し、地域に還元されるものでなければなりません。納税者である住民の関心をどうやって繋ぎとめておくかも大きな課題です。関心を引き付けておくにはどのような活動であるべきか、活動が停滞しまってから理解してもらおうと思っても駄目なのです。住民を失望させないようにするためには、話題作りは欠かせません。地域の学習のためには、町の民俗資料をうまく活用していかなければなりません。また、人を呼ぶためにはモンゴル民族資料も、大いに活用しなければなりません。また、人を呼ぶためにはモンゴル民族資料も、大いに活用しなければなりません。資料的に異なる両者を有機的に結合させて、新しい博物館を考えなくてはなりません。日本とモンゴルとの生活を比較紹介していく施設もおもしろいと考えています。将来的に間違った選択だったと言われないよう、両者の活用を第一義に打開策を考えていただきたいと思います。基本テーマ、基本方針など基本の部分をしっかり議論していただきたい。それがおろそかになると失敗することが多いので、基本の重要性を訴えたいところです。

 また、地域の問題として若干気になる点があります。但東町は旧高橋村・合橋村・資母村の三村が合併してできた行政町です。したがって、この三つの村は役場庁舎の位置や学校の統廃合をめぐって古くからことごとく対立する地区であったと聞いています。博物館建設に際しても、その建設地をめぐっては各村の思惑や利害関係が働くものと考えられるのです。表立った不満はないものと思量されますが、赤花に設置してあるモンゴルゲルセンター「オルドン」や民俗資料館があることからも、中山地区がもっとも有力な候補地として考えています。合橋の出合地区には役場庁舎をはじめ農協や郵便局などの公的施設が集中していることや、高橋地区においては宿泊施設やまびこ、シルク温泉を中心とした施設やスポーツ施設がみられることからも、町の施設均衡化という意味からも、中山地区を望みたいところです。中山周辺にみられる日出神社、庄屋屋敷、蔵雲寺、金蔵寺、農村歌舞伎舞台、亀ヶ城、そばの郷、オルドン等を取りこみながら、文化地区として位置付けてみたいと思います。最終的には町全体をそのような考え方によって、町全体の文化財施設、町並み、遊歩道、飲食店、スポーツ施設、宿泊施設というように町全体の総点検を行ない、それぞれの施設の特徴、利点を整備し有機的結合が図られるよう見なおしをおこなう必要があるでしょう。

中央の畑部分約10000平方mが博物館候補地として選定