口 上
  古今東西 世に博物館 美術館 数あれど
  一興を果たすのみにて 己が学ぶに足るは得ず
  年々歳々 企画展相似たり 歳々年々 利用者同じからず
  況んや利用者の為に営むべき博物館をや
  理想はあれど漠として纏まらず 困惑生ずのみ
  君に勧む 我等が日本蒙古民族博物館
  何人か説わざる博物館を学びて楽しと
  されば一日にして 学識海の如く広まり
  一目にして 見識山の如く高まり
  忽ちにして その欲する処 欲せざる処 明らかとなり
  田舎に有れど 国際性に満ち 学芸員なれど 
  雑芸員に努め自堕落ならざる
  博物館の目論見 掌中鏡を見るが如し
  納得満足 御一家万々歳
  意有らば 辺鄙な土地なれど 御家中御揃ひにて御来駕を
  一朝の遊学 亦楽しからずや
           日本蒙古民族博物館主敬白

日本蒙古博物館へ御遊学希望の折は、事前にお問い合わせください。
0178−56−1000 (モンゴル博物館直通)




「口上」のさらに口上

 博物館・美術館と称する大小の施設が全国に6000とも7000とも言われる数が存在しています。これだけの施設が全国にありながら、各館のHPは極めて少ない状況です。組織面や予算・運営面の制約で、自前のサーバーを持てずに自治体のHPに組み込まれ、当り障りのない施設紹介にとどまっているのが少なくありません。この「博物館公認私設HP」という形も、地方の小さな博物館が抱えている現状であり、問題でもあるわけです。本来ならば博物館が組織的な管理運営のもとに行なわれるのが理想です。IT時代だと掛け声は先行していますが、担当者が異動すると更新が滞ってしまい、広報活動どころかマイナスイメージにもつながりかねません。それでも地方の小さな博物館においては、インターネットを情報媒体としてより有効に活用したいのが本音です。

 日本・モンゴル民族博物館も99年からHPを公開していますが、業者任せのHP管理や日常業務に追われ思うように更新ができません。個人が管理運営することによって、ある程度の表現上の問題も緩和され、公的に運営しづらい面を、私設という形で支えることができると考えています。あくまで個人で運営する私設HPですが、博物館公認という形をとっている以上は、何らかの形で博物館に還元できるものでなければならないと考えます。一人でも多くの方たちにモンゴル博物館の存在を知っていただき、より身近に活用できるようなればと思います。

 自由気ままに綴っている「博物館通信」や「にわか外交官が見たモンゴル」「七つ森通信」など極めて私的なページです。「ゴマメの歯ぎしり」と称して、世の中の理不尽な思いをこのHPの片隅で綴っております。本来、ゴマメはカタクチイワシの稚魚を素干にしたもので、田作りともいわれます。ゴマメの祝い魚としてのルーツは、田植えのときに乾燥したイワシを肥料にしたためです。田作りを肥料にすると米が五万俵もとれたので、五万米(ゴマメ)と書くようになったそうです。語源はゴマのような小さな目をしているのでゴマメだともいわれます。この小さな無力なゴマメが怒って歯ぎしりしても所詮は誰にも聞こえません。でも、だからといってこのままでいい訳がありません。

 とかく博物館のホームページは内容が専門的過ぎるので、私設という意味では肩肘張らない自由さを今後も持ち続けたいと考えています。更新作業は帰宅後あれこれと深夜に及ぶこともしばしば。主に休日を利用しての作業になりますが、近い将来モンゴル民族博物館公式ホームページが独り歩きできる段階になれば、この「モンゴル文化の森」の役目を終えたいと考えています。

 将来は博物館に行かなくても、自宅のパソコンで済むようになる時代が来るかも知れません。しかし、いくらバーチャル化が進んだとしても博物館の良さはなくなりません。今後は本物を見たいという仕組みの開発だと考えています。実物ならではの情報があり、実物とデジタルは相補うものの関係にあります。どんなにバーチャルの世界が進んだとしても、質感や存在感は、実物を前にしなければ実感できません。時代の流れは想像以上に速く、新しい博物館のあり方も問われてくるでしょう。そんな思いを「口上」の口上という形で述べてみました。
   
  日本・モンゴル民族博物館   
  館長  金津 匡伸


 ゴマメは確かに存在感のない小さな魚かもしれませんが、どんな小さな存在だとしても味噌汁の出汁にしたらキリッとした味がでます。大きいだけが能ではありませんし、小さくても誰にもだせない味があるものです。これまで小さな無力なゴマメとして怒って組織の中で歯ぎしりばかりしていましたが、これからはゆっくり組織を離れた私的HPの中でマグロやカツオのように大海を泳いでみたいと思います。