移動しないゲル群 
 vol.48  ウランバートル市内を取り囲むようにゲルの集落が拡大

ウランバートル市内を取り囲むようにゲルの集落が拡大しています。地方からの出身者が出身別にまとまっています。板塀に囲まれた区画の中には、テントのゲル、木製の平屋、穴を掘っただけのトイレ、僅かな畑があります。どこも同じような板塀のせいか、どこを歩いているのか分からなくなるときがあります。
 木製の平屋はお世辞にもりっぱとは言えないバラック状態で、家財道具もほとんどありません。言葉は悪いかも知れませんが、スラム街そのものです。小さな沢のような場所があると、次から次にごみが投げ捨てられていきます。時には犬の死骸や家畜の骨などもゴロゴロしています。トイレは穴を3mほど井戸状に掘った穴に足を乗せる板を渡しているだけです。このし尿はおそらく地下水に流れ込み、市内を流れるトーラ川やセルベ川に流入していると思うとぞっとします。飲料水は共同水道が設置してある場所も見られますが、多くは近くの川へ水汲みに出かけています。水汲みの仕事は子供たちの大事なお手伝いになっています。
 これらの移動しないゲル群は民主化以降、急速に増えつづけています。ボヤントオハー空港周辺にも小さなゲル群がありましたが、近年ではひとつの町並みを形成するほどに拡大しています。91年にウランバートルの人口は60万人と言われ、2000年には80万人までに膨張し、現在、関係者は100万人だと推測する人もいます。
 確かにウランバートルが民主化以降に急激な膨張を続けているのは誰の目にも明らかで、その大半がこれらの移動しないゲル群なのです。市内の水需要、水処理問題、エネルギー問題、交通問題、失業者対策、様々なありとあらゆる問題が渦巻いており、すぐに解決できないものばかりです。結局、お金持ちは中心部の高層住宅群に集中し、貧しい人たちは郊外のゲル群に集中するという二極化傾向が強まっています。