◆ 93年夏、ウランバートル市内で異変がありました。この年は例年よりも雨の多い年で、市内のデコボコ道や路地裏などに多くの水溜りができました。もともと乾燥している国なので、これまでにも市内の至る所で水溜りができるなんていう光景は見たこともありませんし、モンゴル人に聞いても今年のような雨はあまり経験したことがないなどと話していました。ガンダン寺の東側にあった草地などは大きな溜め池になってしまいました。
◆ 子どもたちと市内を散歩していると、この水溜りの中に変な生き物がうごめいているではありませんか。それも大量に湧いてきたようにうごめいています。子どもたちは興味があるらしく、静かに観察していると長さ4〜5センチ程のカブトエビでした。カプトエビは節足動物甲殻綱背甲目カブトエビ科に属し、世界で4種類が知られ、うち日本では3種類までが生息しています。アジアカブトエビは日本にも生息しており、関東から南にみられます。このカブトエビは人間が生まれる遙か昔、3億年前から地球上に生息している生きた化石です。
アジアカブトエビの体色は汚緑褐色ないし暗褐色で、淡水産で、水たまりに出現し、泥土上をすばやく歩いたり泳いだりし、乾燥や低温に強い耐久卵を産んだあと1ヶ月ほどで死んでしまいます。雑食性で、泥とともに微小生物を食べ、また雑草の根も食べるので、「草取り虫」とも呼ばれています。中には共食いしているものもおり、タライ程の水溜りに何百という数のアジアカブトエビなのです。
大草原の中で乾燥しているときには何十年とじっと待ち続けて、今回のような雨の多い年に生まれるそうです。
それにしても不思議なのは、草原の中にできた水溜りの中にさえこの生き物がいます。
大草原に「エビ」と聞いて、なんか違和感を強く覚えるのは私だけでしょうか。
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