にわか外交官-1 
 vol.9  書記官と理事官

 勤務していた会社から突然の業務命令で外務省に移籍。正確には突然ではありませんでしたが、1年前に外務省で初任研修を終えて赴任するばかりでした。初めて経験する役人の世界、その中でも大使館というきわめて特殊な社会、まして赴任先は遊牧の国モンゴルです。モンゴル語を話せるわけでもなく、昨日まで外務省のしきたりを知るわけでもないまったく無防備な一介のサラリーマンが、一夜明けたら「にわか外交官」です。

 外交官といっても大使館の中では書記官と理事官に分かれており、外交の仕事が実際できるのは書記官だけです。といっても、小さな大使館では書記官と理事官とはっきりした区別をしているわけではなく、何でも対応しているのが現状です。外交官は全権特命大使をトップに次席として公使がおり、次に参事官が控えています。公使や参事官は場合によっては一人だけとは限りません。書記官と理事官は一等から三等まであり、その下に外交官補や副理事官という外交官見習みたいなものがあります。「父ちゃんの階級は母ちゃんの階級」といわれるほど、階級社会を地でいくシステムに腹立たない職員はいないでしょう。階級社会に慣れている外務省の職員であれば抵抗も少ないかも知れないのですが・・・。

 また、外交官とは違いますが、専門調査員と派遣員と呼ばれる職員もおります。専門調査員は任国に関する調査を主に担当しますが、普通は大学院の学生であったり、それに準ずるようです。派遣員は会計担当者の下に仕えて、雑用一般をこなしています。一般的には任国の言葉がある程度理解できるような学生が休学して応募してきます。給料に関しては学生では考えられない高給ですし、語学の勉強にもなり、本人次第ですが遣り甲斐のある仕事なのかも知れません。

 外務省に入省すると「外務省員手帳」が渡されますが、簡単に外務省の諸制度や概要が分かるガイドブックになっています。初任研修である程度のことは分かっていても、いざ入省してみるとチョットしたことでも戸惑うことばかりです。一般の会社であれば総務課である程度のことをしてくれますが、外務省では手続きは自分たちであちらこちらと関係部署を廻りながら手続きしなくてはなりません。本当に面倒な不親切なシステムだと思います。モンゴルへの赴任時に当時の中国課モンゴル班で課長補佐をされていた方に、子どもの教育問題、赴任手続き等について細かなアドバイスを頂くことができました。不親切な外務省だと感じていただけに、本当に有り難い思いでした。その方が現在のモンゴル日本国大使館の花田大使です。